「Web 3.0の時代を作り上げる」──日本SGIの見据えるコンテンツの時代

「ネットワークやハードウェアといったインフラが整った今、本当に重要なのはそこを流れるコンテンツ」と日本SGIの和泉氏は話し、包括的なソリューションを提供できる同社の強みを示した。

» 2006年04月13日 18時54分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 日本SGIは4月13日、都内で「VizImpress ビジネス・パートナー・フォーラム」を開催した。同フォーラムには、昨日日本SGIが発表した、次世代型のコンテンツ表示機能の普及を目指す「VizImpressイニシアティブ」の参画企業がそれぞれのVizImpressソリューションを展示していた。

 冒頭、日本SGI代表取締役社長CEOの和泉法夫氏は、ネットワークやハードウェアといったインフラが整った今、本当に重要なのはそこを流れるコンテンツであり、CIOの役割も、企業内に間違いなく存在しているすばらしいコンテンツをビジネスにどう役立てていくかを強く意識したものに変わっていく必要があると話す。

和泉氏 「コンテンツの時代は予想よりはるかに早く到来している」と和泉氏

 続けて、「最近よく耳にするようになったコンテンツ配信だが、これを行うには、データをどうアーカイブするか、また、そのセキュリティ、著作権保護、さらにはコンテンツの作成そのものまでかかわってくる話」(和泉氏)と話す。それぞれのソリューションとしてはほかのベンダーからも提供されているが、コンテンツ・ライフサイクル・マネジメントのソリューションを「SiliconLIVE!」というソリューション体系にまとめ、包括的に提供できるのは日本SGIだけであると強調した。

 また同氏は現在の株主構成についても触れた。2001年にNECが資本出資を行った後、その構成が大きく変化したのは2回。1回目は、2005年4月に、キヤノン販売、ニイウス、ソフトバンク・メディア・アンド・マーケティング(いずれも当時の社名)といった3社との戦略提携が発表された際で(関連記事)、もう1回は、2006年3月に発表されたソニーとの戦略提携によるものである。この結果、現在の主要な株主構成としては、NECが53.5%、米SGIが21.4%、ソニーが10.8%、キヤノンマーケティングジャパンが8.9%と、かつての100%外資系企業は日本市場に根ざしたハイブリッド企業となった。

「NECは次世代ネットワーク、キヤノンマーケティングジャパンはシステムインテグレーター、ソニーは放送業界向けのソリューションと、それぞれの強みが生かせるこの状態は、株主構成としてはベストフォーメーション」(和泉氏)

 このうち、米Silicon Graphicsの比率の減少が著しいが、日本SGIでは国内市場における米SGI製品の独占販売権を2010年まで結んでいる。また、ビジネスの方向性の違いからそれらはさほど問題ではないと和泉氏は話す。

 「もはやわれわれはハードウェアベンダーから脱却した。(SGI創業者の)ジム・クラークのDNAは日本SGIが受け継ぎ、CrayのDNAを米SGIが受け継いでいると考えればよいのではないか」(和泉氏)

 同フォーラムの会場では、VizImpressイニシアティブの参画企業によって幾つかの展示が行われていた。従来、VizImpressはプラズマテレビとの組み合わせで提供されることも多かったようだが、展示には液晶モニタやノートPCなどとの組み合わせも展示されていた。また、操作方法もタッチパネルだけではなく、さまざまな組み合わせが検討されているようだ。

観光案内地図をUSB接続のタッチペンでPC上の地図と連携させている
キューブ状に表示された各種コンテンツ。画面下の黒いデバイスの間で手を動かすことでポインタを操作することも可能だった

 キヤノンマーケティングジャパンが日本SGIの株主であることを考えると、今後、VizImpressのソリューションを、2007年末にも市場に投入予定の次世代薄型ディスプレイ「SED」と併せて提供する可能性も考えられる。SEDは東芝とキヤノンが共同開発しているが、その魅力を最大限に引き出すには高解像度のコンテンツが必要となる。そこにVizImpressによるインタラクティブ性が加わることで、両者とも強い訴求力を手にできると考えられるからだ。

 和泉氏は「世間ではWeb 2.0が話題だが、われわれはWeb 3.0の時代を作り上げる」と述べている。Web 3.0というのは冗談にせよ、そこには革新的な先進技術で市場をリードしようとする同社の姿勢が見て取れる。

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