オープンソースコミュニティーの印象は人それぞれだ。閉鎖的、開放的、それはオープンソースそれぞれによっても異なるだろう。OpenOffice.org日本ユーザー会は、新たな挑戦を始めた。
4月3日、OpenOffice.org日本ユーザー会は「OpenOffice.org2.0.2日本語版」をリリース発表した(関連リンク)。英語版リリースから遅れること、1カ月弱となったが、この提供には武内義幸氏をはじめとする有志が、品質確認(QA)テストを行った。ユーザー会を代表して参加した皆さんに感謝したい。
今回のバージョンアップはバグフィックスが主なところだが、幾つかの機能強化も注目したいところだ。特に、Linux版では、専用のフォント表示環境がなくても太字/斜体表示が可能になったところが大きい。
一方、ユーザーの中には、OpenOffice.orgはひんぱんにバージョンアップをしているが、品質は大丈夫なのだろうか? と考える人がいるかもしれない。しかし、そのような心配は無用だ。OpenOffice.orgプロジェクトは、3カ月に一度という計画的なバージョンアップを公式に掲げている。このようなリリース計画を明確にすることで、常に最新の状態のソフトウェアを提供するとともに、ユーザーにとっても計画を立てやすくすることが目的だ。
このため、すでに次のリリースに向けた作業も動き出している。英語版リリース候補の作成は5月4日の予定だ(関連リンク)。新機能のニュースを心待ちにするだけでなく、日常業務の中に定期的なバージョンアップ計画を考えておくことをおすすめしたい。
今回のリリースに合わせて、インストール作業をすることなくCD-ROMを挿入するだけでブートするCDブート版OpenOffice.orgを紹介した(関連リンク)。実はこのビルド、まったく新しい機能というわけではない。このようなテクニックは、OpenOffice.org 1.0の世代から知られていたものだ。ここでCDブートOOoの仕組みを解説しておこう。
OpenOffice.orgは、次に挙げる2つのフォルダ下にインストールされる。OpenOffice.orgは、プログラム本体フォルダに格納されているのだ。
C:\Program Files\OpenOffice.org 2.0\
C:\Documents and Settings\[ユーザー名]\Application Data\OpenOffice.org2\
OpenOffice.orgでは、プログラム本体以下のフォルダをUSBメモリやCD-ROMにコピーすると、そのフォルダをカレントとして起動することが可能だ。ユーザー設定が存在しない場合には、作成するためのウィザードが呼び出される。ユーザー設定フォルダは、プログラム本体側で決め打ちをしているため、複数のOpenOffice.orgを導入する機能を利用する(関連リンク)。
CDブートOpenOffice.orgは、このテクニックを応用したCD-ROMイメージを公開したものだ。ユーザーの利用環境で使いやすいよう、専用ランチャーを自動起動するようになっている(関連リンク)。また、既存のユーザー設定フォルダを上書きしないよう、設定を変更している。実行可能なままファイルサイズを小さくするため、UPXというツールを使用している(関連リンク)。専用ランチャーおよびISOイメージの作成は、QAテストでも活躍している武内義幸氏が行った。
再配布に制限があるアプリケーションであれば、このようなカスタマイズ版の自由な配布は難しいだろう。しかし、OpenOffice.orgがオープンソースソフトウェアであるため、このようなカスタマイズが可能になる。読者も自由に自分専用のUSBメモリ版OOoを作ることができるのだ。
もう一つ、今回のバージョンアップに合わせて「OpenOffice.org Q&A」というWebサイトをリニューアルした(関連リンク)。
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