「サービスのオープン化で“次のGoogle”を支援したい」とSunのパパドポラスCTOInterview(1/2 ページ)

Sun Business .Nextカンファレンスのために来日したSunのパパドポラスCTOは、大半の研究開発費を「サービス」に振り向けており、第2、第3のGoogleの登場に期待し、支援したいと話した。

» 2006年04月25日 07時15分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 サン・マイクロシステムズは先週、東京・名古屋・大阪・福岡の4都市で「Sun Business .Next」カンファレンスを連続開催した。ビジネス層を主な対象とし、「日本版SOX法」や「Web 2.0」といったITの最新トレンドを紹介するもので、同社としては新しい試みとなった。基調講演には、インターネットやITの将来を語るには最もふさわしい業界人のひとりであるクレッグ・パパドポラスCTO(最高技術責任者)が登場し、積極的な研究開発投資によってSunが切り開こうとしている次世代のコンピューティングについて語った。東京での基調講演を終えたパパドポラス氏は、プレスの共同インタビューにも応じ、「次の大きな波はオープンサービスだ」と改めて強調した。

Sunの研究開発投資は年間20億ドルに上り、パパドポラスCTOはその方向付けに深く関与する

── 基調講演で、「将来のコンピューティングは、オープンサービスだ」と話していますが、現在はどのような段階まできているのでしょうか。

パパドポラス Sunはここ数年、難しい時期にあっても積極的な研究開発投資を継続してきました。ウォール街のアナリストらにはなかなか理解されませんでしたが、幾つかの分野において強力な製品や技術を整えることができました。Solaris 10、省電力のT1プロセッサ、Javaベースのミドルウェアスイート、StorageTek、Javaを搭載した携帯電話……、そして今年もUltraSPARC T1プロセッサの後継であるNiagara 2(コードネーム)や富士通と共同開発するAPL(Advanced Product Line:Sun Fireサーバの後継)など新しい技術が目白押しで、投資の成果が表れてきます。

 Sunは、こうした研究開発投資の多くを「サービス」に振り向けていると言ってもいいでしょう。

 例えばGoogleは、サービスとしてソフトウェアを提供しています。今のところ彼ら自身のビジネスのためのサービスであって、他社と共有するつもりはなさそうですが、Sunはそれでも歓迎しています。Googleとは昨年10月、Java Runtime Environment(JRE)、Google Toolbar、およびOpenOffice.orgの推進に向けて協力関係を結びました。オープンか、独自かは別としても、コンピューティングのサービス化を加速すべく、われわれは研究開発投資を行っています。

── ソフトウェアではオープンソース・コミュニティーが大きな役割を果たしています。サービスをオープン化していくために、Sunはどのような役割を果たしたいと考えているのでしょうか。

パパドポラス オープンソースは、コンピューティングの将来を担っていくでしょう。世界中の開発者が参加していくには、オープン化が不可欠です。われわれは、多くのソフトウェアをオープンソース化して、開発者を支援しています。Googleは、今のところ独自のサービススタックを提供していますが、Sunとしては、だれが次のGoogleになるのか、彼らは何を必要としていて、どこへ向かおうとしているのかを見極めたいと考えています。

 Sunは、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアをオープン化するという役割も担っています。この2月には、最新のSPARCインプリメンテーションであるUltraSPARC T1プロセッサの論理デザインをオープンソース化しました。世界中のだれでも、これを利用して自由にプロセッサを作ることができます。

── Sunは、Web 2.0のムーブメントにどのように取り組んでいくのでしょうか。

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