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» 2006年04月26日 07時00分 公開

SQLパートナービジネスを脅かすOLAPの補完戦略

MicrosoftによるProClarityの買収により、SQL Server Analysis Services向けのフル装備のクライアントが誕生することになる。ただし、パートナーにとっては、MicrosoftのOLAP戦略を補完するための機会が1つ閉ざされることになる。

[Chris Alliegro,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 MicrosoftはProClarityを買収することで、同社のOLAP戦略に長らく欠けていた要素をようやく補えることになる。その要素とは、同社のオンライン分析処理(OLAP)サーバ技術「SQL Server Analysis Services」向けのクライアントだ。Microsoftの認定ゴールドパートナーであるProClarityの「ProClarity Analytics」製品は、これまでに約2000社の顧客を獲得している。ProClarity Analytics製品には、ユーザーがブラウザを使ってSQL Server Analysis Servicesデータを連携できるようにするためのWebサーバアプリケーションや、フル装備のシッククライアントアプリケーションが含まれる。今回の買収はMicrosoftのOLAP戦略を総仕上げするものとなるが、その一方で、パートナー各社にとっては、MicrosoftのOLAP戦略を補完するための残りの機会の1つを脅かされるということでもある。

ProClarityの買収でAnalysis Servicesを補完

 Microsoftは1998年、「SQL Server 7.0」のリリースによりOLAP市場に参入し、その後、SQL ServerをアップグレードしながらOLAP機能を強化してきた。OLAPアプリケーションを構築するための開発ツール/プログラミングインタフェース/ランタイムサービスをまとめたシステムは「SQL Server Analysis Services」と呼ばれるが、このシステムはSQL Server 2005へのアップグレードの際に大幅に刷新された。OLAP業界向けの情報サービス「The OLAP Report」によれば、SQL Server Analysis ServicesはOLAP市場で最も優勢なプラットフォームとなっている。

 こうした優勢にもかかわらず、Microsoftはこれまで、SQL Server Analysis Servicesデータと連携させるためのクライアント機能を十分には提供してこなかった。ビジネスレポートや分析向けに、個人の販売記録などのロービジネスデータを要約する複雑な分析用データベース(キューブと呼ばれる)との連携についても同様だ。2001年にリリースされた汎用OLAPクライアント「Data Analyzer」はあまり注目されておらず、また、ExcelはSQL Server Analysis Servicesデータと連携されることが多いにもかかわらず、フル装備のOLAPクライアントと比べて高度なナビゲーション機能や視覚化機能の多くが欠けている。例えば、Excelユーザーは通常、キューブの2次元の表計算ビューを用いる。一方、ProClarityの「分解ツリー」では、キューブの複雑な多平面/多次元構造が直観的にグラフィカル表示されるため、ナビゲーションや分析に便利だ。これまでMicrosoftは、そうした機能の提供をパートナー各社に委ねてきた。ProClarityのほかにも、Microsoftの認定ゴールドパートナーであるPanoramaやOutlookSoftが、SQL Server Analysis Servicesデータと連携する高度なツールを提供している。

 2006年4月に発表されたProClarityの買収計画は、こうしたパートナーのチャンスを脅かすものだ。だが、この買収がOLAP市場におけるMicrosoftのリードを強固なものにするのは確実だ。さらにこの買収により、Microsoftのそのほかのツールも強化されることになる。これまでProClarityの最大の特徴はSQL Server Analysis Services向けのクライアント機能の提供だったが、ProClarity AnalyticsはSQL Serverのマネージドレポートプラットフォーム「Reporting Services」や重要業績評価指標(KPI)を使った業績分析をサポートするWebサーバアプリケーション「Office Business Scorecard Manager(BSM)」など、Microsoftのそのほかのビジネスインテリジェンス(BI)ツールもサポートする。例えば、ProClarityのアドオンにより、ユーザーはProClarity Analyticsのデータ視覚化ツールを使ってBSM KPIを分析したり、そうしたKPIの算出に使われたデータを検証したりできる。

 ProClarityはアイダホ州ボイシを拠点とし、社員数は約140人。おそらく、社員の大半はMicrosoftのOffice Business Applications部門に加わることになる見通し。同部門はこの買収のとりまとめ役であり、BSMを担当しているのも同部門だ。Microsoftは買収の金銭的条件や、買収後のProClarity技術の名称/パッケージング/リリース計画については明らかにしていない。Excelなど、そのほかのMicrosoft製品の中でProClarityがどのように位置付けられるかもまだ不明だ。例えば、Excel 2007は新機能や使い勝手の改善により、SQL Server Analysis Services向けのクライアントとして強化されると見られている。顧客の混乱を避けるためにも、Microsoftは各製品の差異を明確に示す必要があるだろう。

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