米EMCは、ボストンで「EMC World 2006」を開催。グローバルマーケティング兼事業開発主席副社長のハワード・エライアス氏は、ILMのコンセプトが広く顧客に浸透してきたと話す。
米EMCは同社のひざ元と言えるボストンで「EMC World 2006」を開催している。日本にも年に数度訪れるというグローバルマーケティング兼事業開発主席副社長のハワード・エライアス氏は、同社のILMのコンセプトが広く浸透してきているとITmediaに話した。
同社が世界市場の中でも唯一苦戦を強いられている日本市場については「非常にユニークだ」としながらも、同社が成功しているベストプラクティスを持って、日本市場に臨む姿勢に変わりはないという。
ITmedia 2004年の9月に東京でインタビューをしたときは、EMCが日本でも情報ライフサイクル管理(ILM)を訴え始めたころだったと記憶しています。それから2年ぐらいたちましたが、ILM戦略に変化やアップデートはありますか?
エライアス 戦略自体に大きな変化はありません。ただ、ILMの実現に向けて顧客に届ける価値という点で変化が起きています。3年から2年ほど前というのは、2階層の階層ストレージでシングルアプリケーションのILMを行うという顧客が半数近くを占めていました。しかし、現在はこのフェーズが先に進み、3階層の階層ストレージでアプリケーション横断的なアーカイブを行うアプローチによるものが増えてきています。
ITmedia 顧客にILMが浸透してきているということですね。米国だけでなく、日本においても十分にILMのメリットが十分に理解されていると感じていますか?
エライアス 顧客の要望というのは、世界のどこでもそれほど大きく変わるものではありません。そういう意味で、日本が遅れていると感じることはありません。ただ、日本はメインフレームが主体となっていることなどITカルチャーの面で異なる点があります。そのため、ILMのフェーズの進展には多少の時間がかかるだろうと考えています。
ITmedia 先日、サンディエゴで開かれた「Storage Networking World」に参加する機会がありました。その会場で「ストレージ環境における企業の悩みを尋ねるアンケートが行われました。企業は、ILMよりもリソース管理やバックアップなどを悩みの上位に挙げており、興味深いものでした。
エライアス ILMというのは古くからあるストレージの課題に対する解決策でもあります。そこにはバックアップ/リカバリ、災害対策などが含まれています。つまり、古くからの問題に対して、ILMと新しい言い方をしているという側面もあるのです。
ただ、リソース管理が1番だったというのにはわたしも賛成できます。EMCとしてははILMに隣接する市場にも投資をしてきました。仮想化には「VMware」「Invista」「Rainfinity」があり、リソース管理にはSMARTSという製品があります。ILMのコアとリソース管理の2つができることで、企業は強い情報インフラができるのだと考えています。
ITmedia 先ほど日本のITカルチャーに触れましたが、日本でのビジネスをどのようにとらえているのか教えてください。先日、シェア拡大に向けたNECとの提携拡大のアナウンスなどがありましたが、EMCジャパンの成果に満足していますか?
エライアス EMCジャパンは現在、前進しているという状況です。ただ日本以外の市場ではストレージにおけるナンバーワンのシェアを獲得してきたのですが、残念ながら日本ではそうでありません。やはり日本はユニークな市場で、マーケット自体が異なっているということだと思います。そのため日本市場には幾つか異なるチャレンジがあります。
しかし、EMCジャパンは10年の実績を持っています。NECとのアライアンスは、EMCジャパンだけでは時間がかかってしまうシェア向上をNECにも役割を果たしもらうことで達成していこうというものです。
ITmedia どれくらいのスパンで日立にキャッチアップし、追い抜こうというのでしょうか?
エライアス もちろん日本市場でもナンバーワンになることが目標です。基本的にはEMCの持つベストプラクティスを持って日本市場に臨むやり方に違いはありません。ただ時間的なものは、米国とは違う日本のゆっくりとした時間の流れで考えてください(笑)
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