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» 2006年04月27日 08時00分 公開

CIO体制が持たらしたもの――滋賀県IT統括監松田成就氏に聞く激変! 地方自治体の現実(1/2 ページ)

民間企業においては、既に多くの企業で採用されているCIO体制。地方自治体でも、近年その重要性への認識が高まっている。全国に先駆けてCIO体制を明確化し、行政改革という位置づけでの庁内IT化を進める滋賀県の、IT統括監でありCIO補佐官である松田成就氏に、その取り組みと現状について聞いた。

[田中雅晴,ITmedia]

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 住民向けの電子申請をはじめとした地域情報化に関しては、その取り組みは住民の目から見ても内容が分かりやすく、各自治体ともに推進が実現されていると言えるだろう。その一方で、住民側からは実情が見えにくいのが、庁内の情報システム化に関する取り組みだ。

 2005年4月、全国に先駆けて「CIO(最高情報責任者)補佐官」という立場を明確に定義し、CIO体制に基づいて、行政改革という視点から庁内の情報化を進めている滋賀県の取り組みとその現状について、滋賀県IT統括監/CIO補佐官であり、都道府県CIOフォーラムの会長も務める松田成就氏に話を聞いた。

松田氏 滋賀県総務部IT統括監/CIO補佐官で、都道府県CIOフォーラム会長の松田成就氏。2004年、IT推進者としてNTTより採用。滋賀県で民間採用の公務員第1号

全国に先駆けてCIO補佐官を設置

 都道府県CIOフォーラムが2005年度に47都道府県を対象に行ったアンケート調査によると、2004年度末の時点で、CIOを設置している団体は18団体、CIO相当職を設置している団体が15団体となっており、7割を超える都道府県で、CIOまたは相当職が設置されている。

 その中で、2003年度の公務員制度改革により、ITに詳しい民間出身の人材をCIOまたはその相当職として採用している団体は2団体、CIO補佐官/相当職として採用している団体は10団体であった。滋賀県は、岐阜県などに次いで全国で3番目に民間採用を実施。2004年度にNTTより採用された松田氏は、滋賀県での民間採用の第1号である。

 ところが、松田氏が採用された2004年度、業務要件の中には「CIOを補佐すること」という一文はあったものの、CIOが誰かが分からないという、極めてあいまいな状態であったと松田氏は振り返る。

 2005年4月、松田氏は正式に、全国都道府県での設置は第1号になるという「CIO補佐官」という立場に就き、所属も、総務部内の「行政経営改革室」となった。

強力なルール作りと浸透のための権限が必要

 松田氏着任当初の2004年度は、県民の安全や生活衛生に関する業務を担当する「県民文化生活部」内の部署である「IT推進課」に監理官として籍を置き、琵琶湖情報ハイウェイの構築やブロードバンド環境の整備・デジタルデバイドの解消、行政手続のオンライン化など、対住民の地域情報化とともに、庁内のネットワーク作り、汎用コンピュータの運用管理・財務管理などネットワーク基盤の構築と全庁的なシステム構築に携わった。

 この時点で、情報システムの構築・運用の観点から考えると、部署ごとのガバナンス機能はあったものの、例えば調達におけるチェック機能などは各部署で独自に運用されているなど、「横ぐしを指す」という作業である全庁的なシステム化を目指すに当たってのシステムの不統一という大きな課題があったという。

 そこで、松田氏が委員長となって「計画調整委員会」を組織、予算段階および発注段階でのチェックなど、システムの運用管理を行った。

 その活動を通じて、特に民間という「外部」から入ってきた同氏が感じた一番の問題は、「行政はPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルのPDはできているがCAができていない」ということだった。

 辛口に言えば、予算の確保などにだけ注力し、その効果に関しては無関心に近いという状態であったという。結果、2004年度の夏ごろに協議された財政構造改革において、資金が不足しているという事態が明らかになり、施策が有効なのかどうかを問う必要性がクローズアップされた。

 「財団法人ニューメディア開発協会」の2004年度の研究会での報告でも、中央省庁では具体的に、「こういうシステムを作るとこういう効果がある」という点を明確に示した上で実際の構築を手掛ける体制になっているが、地方では、システムを作ること自体が目的になっており、効果測定ができていない、チェックができる仕組みを作る必要である、という指摘がなされている。

 2004年度の活動の結果、現状のルールはあるが、もっと強力なルールが必要であり、全庁的な統括された仕組みを作っていくことが必要だという結論に至ったのである。

 そのルールを明文化する必要性があり、それをCIOの名の下で行うことで全庁的に浸透させるという狙いから、2005年4月、安藤副知事をCIO、松田氏をCIO補佐官とするとともに行政経営改革室所属という体制を採ったのである。

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