Wine、デスクトップ、標準規格の話題LinuxWorld Toronto(3/4 ページ)

» 2006年05月02日 08時00分 公開
[David-Graham,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine

企業向けデスクトップLinux

 Novell CanadaのCTO、ロス・シュバリエ氏による、LinuxWorld Conference & Expo Toronto 3日目の基調講演は「2006 - The Year of Linux on the Corporate Desktop(2006年:企業向けデスクトップLinuxの年)」と題して行われた。はじめに彼は、このタイトルが使い古されたものであることを認め、なぜ2006年なのかを問いかけた。特に否定する理由もなさそうだ。毎年のように取り上げられる話題だが、彼自身は、ついにLinuxが企業のデスクトップを狙えるところまで来た、と信じているようだ。

 シュバリエ氏が取り上げたのは、Linuxデスクトップ環境のユーザービリティに重点的に取り組むBetter DesktopというNovellのプロジェクトだ。このプロジェクトの背景には、ユーザーが何を求めているのかを理解するために、テスト環境においてではなく、実際に仕事でLinuxデスクトップを使っている人々とやり取りしながら開発を行うという考え方がある。このプロジェクトは、企業が大がかりな再教育のコストを一切かけずにLinuxデスクトップ環境に移行するのを支援することを目的としている。人々は何事もうまくいくことに慣れているので、Linuxデスクトップへの移行でもそれを望んでいる。よって、このプロジェクトは、その実現に向けて取り組みを進めているというわけだ。

質問に答えた出席者にSUSEカメレオンを投げて渡すシュバリエ氏

 目を楽しませるものが重要だ、とシュバリエ氏は言う。それが人々の注意を惹き、学習を助ける。後で彼はこのテーマに戻って、X環境の複数のデスクトップで三次元表示される立方体など、視覚に訴えかけるようなデスクトップLinuxのデモンストレーションを行った。立方体が画面上を高速で回転し、ウインドウを複数のデスクトップの間でドラッグさせるというものだった。

 Linuxが広く採用されるためには、まだにリリースされていないMicrosoft Vistaや、Mac OS X 10.5といったオペレーティングシステムよりもLinuxのデスクトップが品質とハードウェアサポートの点で優れていなければならない、と彼は語る。そのためには、USBおよびFireWireデバイスやプリンタなどは、WindowsやMac OSのユーザーが期待するように、つなげるだけで動作しなければならない。でないとLinuxデスクトップの導入は遅々として進まないだろう。

 また、シュバリエ氏は、デスクトップコンピュータ内の検索は簡単でなければならない、と話している。大容量のハードディスクと大量のファイルを抱えている人々は、目当てのものが簡単に見つかることを求めている。Alexaによる評価で高得点を得たWebサイトの1位と2位は、それぞれYahooとGoogleだった、と彼は指摘する。検索も重要なのだ。さらに、パスワードで保護されたOfficeファイルは、OpenOffice.orgでも、Microsoft Officeと同じくらい容易に扱える必要がある、とも彼は述べた。さもなければ、やはり導入はないそうだ。

 Linuxが導入されるための要件をひととおり挙げた彼は、そうした要件を満たす機能がすべて実在することを示すために、SUSE Linuxを搭載したノートPCでデモンストレーションを行った。WindowsユーザーがLinuxに移行しても快適に感じられるところまで、われわれは到達している、というのが彼の結論だった。

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