Wine、デスクトップ、標準規格の話題LinuxWorld Toronto(4/4 ページ)

» 2006年05月02日 08時00分 公開
[David-Graham,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine
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Linux Standard Baseの活用

 Free Standards Groupのジム・ゼブリン氏のセッションには、「Open Source and Freedom: Why Open Standards are Crucial to Protecting your Linux Investment(オープンソースと自由:Linuxへの投資を保護するためにオープンスタンダードが重要な理由)」というタイトルが掲げられていた。Free Standards Groupは、カリフォルニアを本拠地とする非営利団体で、「基本的にMicrosoft以外のすべての組織」が含まれるというほど大所帯だ、とゼブリン氏は説明する。会員は地球上に広く存在し、たくさんの国々から多くの組織が参加しているという。

 Free Standards Groupは、主としてLinux Standard Base(LSB)への取り組みを行っている。LSBはISOの標準規格だ。ゼブリン氏によると、LSBの目的はLinuxの分裂を防ぐことにあるそうだ。オープンソースについてのよくある誤解は、オープンソースを利用すればベンダーに束縛されずに済むというものだ、と彼は語り、これは真実ではないと警告している。オープンソースは開発方法論の1つであり、自由な選択が保証されるわけではないという。

 多くの企業は、ベンダーに束縛されることに対して不平を言いながらも、責任を負うべきベンダーは1社だけでいいと主張している、とゼブリン氏は皮肉交じりに指摘する。結局、1社にすべてを押しつけようとすることで、そうしたベンダーに束縛されているのだ。オープンスタンダードがあれば(それに照らして相手の過失に言及できるので)、ベンダーを自由に選択できるのだ。

Linux Standard Baseの重要性を語るゼブリン氏

 Linux Standard Baseは、とりわけインストール環境、ライブラリ、設定、ファイル配置、システムコマンドに対する標準規格を提供している。こうした標準規格により、何かにつけ参照すべき場所が分かり、すべてのLinuxシステムは基本構造が同じだと想定できるため、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)はより簡単に Linuxソフトウェアを開発できる、とゼブリン氏は述べる。Linux Standard Baseが利用できる開発では、ISVは、1つのディストリビューションに対して製品のテストを行うだけでよく、テストケースを幾つも設定する必要がないため、開発における品質保証の時間と手間を節約できるという。

 FSGがオープンソースベンダーによって統制されているということは、標準ベースのリリース周期が、ほとんどのディストリビューションの更新サイクルと同じく、約18カ月になることを意味している。この結果、ISO標準規格もまた定期的に更新しなければならなくなる。こうした標準規格は、統一が試みられながらも絶えず流動的なオープンソースのコミュニティーとともに移り行く必要がある。主な商用LinuxディストリビューションはすべてLSBに準拠している、とゼブリン氏は話している。

3日間を振り返って

 今年のLinuxWorld Conference & Expo Torontoは、去年に比べて発表者のレベルが格段に上がり、単に宣伝をするだけの者に比して有用な話題を提供する発表者が大幅に増えていた。カンファレンスの主催者によると、事前登録者の数は前年より多かったが、最終的な出席者数はまだ集計できていないという。

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