カオス化したデータセンターにコントロールをもたらす新製品Symantec Vision 2006 Report

Symantecは米国時間の5月9日、データセンターの管理を効率的に行うための統合製品群「Symantec Data Center Foundation」を発表した。

» 2006年05月10日 20時35分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 Symantecは米国時間の5月9日、データセンターの管理を効率的に行い、サービスレベルの向上を実現する統合製品群「Symantec Data Center Foundation」を発表した。

 Symantec Data Center Foundationは、データ保護とストレージ管理、サーバ管理、アプリケーションパフォーマンス管理という4つの分野をカバーする製品群の総称だ。旧Veritas Softwareやi3の製品群を「Data Center Foundation」という1つの体系にまとめたもの、とも表現できる。

 データセンターは、単一のハードウェアやソフトウェア、アプリケーションのみで構成されていることはほとんどなく、マルチベンダーの製品によるヘテロジニアスな環境となっている。その上、各製品を管理するために個別の管理製品が導入され、数え切れないほどのツールをサポートしていかなければならない状況だ。

 このようにデータセンターの環境が複雑化した結果、そもそもどんな機器でどのようなアプリケーションが動作しているのかすら把握できず、「コントロール不可能なカオス状態に陥っている」(米Symantecのデータセンター管理担当シニアバイスプレジデント、クリス・へガーマン氏)

ヘガーマン氏 最終的にはITサービス管理の実現を視野に入れていると述べたヘガーマン氏

 これに対しSymantec Data Center Foundationは、ヘガーマン氏言うところの「単一のソフトウェアレイヤ」を通じて、「標準化」されたインフラコンポーネントを管理していくことを目的としたもの。このフレームワークにより「インフラを可視化し、データセンターの複雑さを劇的に削減させる」と同氏は述べている。

プラットフォームから独立した管理

 Symantec Data Center Foundationは、大きく4つのエリアから構成されている。データ保護に関しては「Veritas NetBackup」、ストレージ管理は「Veritas Storage Foundation」、サーバ管理の部分は「Veritas Server Foundation」、アプリケーションパフォーマンス管理は「Symantec i3」といった製品がそれぞれ担うことになる。

 このうちVeritas Storage Foundationは、「Veritas Volume Manager」や「Veritas File System」「Veritas CommandCentral Storage」などを統合したストレージ管理製品で、Data Center Foundationの発表に合わせて新バージョンの5.0がリリースされた。

 特徴の1つは、WindowsやLinux、Solaris、HP-UX、AIXといったOSをサポートし、複数のプラットフォームにまたがってストレージ管理を行える点だ。「プラットフォームから独立したストレージ管理を実現し、アプリケーションの移行やデータマイグレーションをスムーズに行えるようにする」と、米Symantecのプロダクトマネジメント担当シニアグループマネージャ、ショーン・デリントン氏は述べた。

 また、ファイルの特徴やアクセス頻度に応じて、適切なストレージデバイスに振り分けて保存させる「Dynamic Storage Tiering」という機能も提供する。重要なファイルはハイエンドのストレージに、念のため保管しておくだけのファイルは別のストレージに保存し、しかもその使い分けをユーザーが意識する必要はない。いわゆる情報ライフサイクル管理(ILM)の考え方に通じるものがあるが、「さまざまな異なるベンダーのストレージで利用できる点が特徴」(同社のプロダクトマネジメント担当シニアディレクター、マーク・ローマイアー氏)という。

 一方、サーバ管理を実現するVeritas Server Foundationは、今回発表された新製品だ。クラスタリング機能を提供する「Veritas Cluster Server 5.0」のほか、旧Relicoreの変更管理ツール「Veritas Configuration Manager」、これまでOpForceの名称で提供されてきたプロビジョニングツール「Veritas Provisioning Manager」などから構成されている。

 「プロビジョニングから管理、可用性向上、最適化など、サーバのライフサイクル全体にまたがる管理機能を提供する」(ローマイアー氏)。クラスタリングや変更管理に基づく障害原因の迅速な切り分けにより、アプリケーションの高いアベイラビリティを実現することができると同氏は説明した。

ストレージ管理ツールの無償版も

 Symantecはまた、小規模な環境向けに、基本的なストレージ管理機能を提供する「Veritas Storage Foundation Basic」を同社Webサイトを通じて無償で提供することも発表した。2プロセッサ、4ボリューム/4ファイルシステム以内のシステムであれば、無償で利用できる。

 無償提供を決めた理由について、ミッションクリティカルなアプリケーションが稼働する大型システムだけでなく「より小規模な環境向けでも、Veritas Storage Foundationの機能を利用したいという要望はあった。あらゆるサイズの企業に、その有効性を知ってもらいたい」とヘガーマン氏は述べた。

 なお、Symantec Data Center Foundationを構成する製品のうち一部はすでに出荷済み。新たに発表された、Veritas Storage Foundation 5.0やVeritas Clster Server 5.0は、国内では2006年第3四半期に提供される予定だ。

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