次なる基幹アプリケーションは電子メールSymantec Vision 2006 Report

米Symantecのジェレミー・バートン氏は、企業のメッセージ管理に関する同社の取り組みを紹介した。

» 2006年05月11日 11時24分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「あらゆる人、あらゆる組織が電子メールを用いている。電子メールはデフォルトのコミュニケーションツールであり、次なるミッションクリティカルアプリケーションとしてとらえられることになるだろう」――。

 米Symantecのエンタープライズセキュリティ兼データマネージメント担当シニアバイスプレジデント、ジェレミー・バートン氏は、サンフランシスコで開催中の年次カンファレンス「Symantec Vision 2006」においてこのように語り、同社の「企業メッセージ管理」に対する取り組みを説明した。

バートン氏 Symantecのエンタープライズセキュリティ兼データマネージメント担当シニアバイスプレジデント、ジェレミー・バートン氏

 バートン氏がまず最初に紹介したのは、開発中の新しい技術「Eagle」だ。まだその詳細は明らかにできないというが、「来年にはリリースする予定のテクノロジ」(同氏)という。

 同氏は昨年のVisionカンファレンスにおいて、迅速なデータ復元を行う継続的データ保護(Continuous Data Protection:CDP)技術、「Panther」を披露した。ブラウザベースのインタフェースを通じて必要なデータの検索とリカバリを実現するテクノロジだ。

 Pantherの特徴の1つが、Webブラウザから手軽に必要なデータを検索できる「Google風」のインタフェースだった。これに対しEagleでは、「Google Desktop」から直接データを探し、リカバリを行えるという。

Eagleのデモ Google Desktopと連携するEagleのデモ

 デモの中では、題名や送信者を元にGoogle Desktopからアーカイブを検索し、添付ファイルも含めて電子メールのデータを復元するさまが紹介された。同様の作業は、プラグインとして提供される「Symantec Retrieve」によっても可能という。

脅威への対応とコンプライアンス

 バートン氏は講演の中で、「メッセージ」を巡る幾つかの課題を示した。

 1つは、さまざまな脅威の存在だ。外部の攻撃者が送りつけてくるフィッシングメールはもちろん、企業でもコミュニケーションツールとして普及しつつあるインスタントメッセージ(IM)をターゲットにしたワームやフィッシング詐欺が増加しつつある。Symantecでは、1月に買収したIMlogicのテクノロジを活用して、こうした脅威をブロックしていくという。

 ただし、脅威は外側だけでなく、企業の内側にも存在する。特に懸念されるのが、企業の機密情報や個人情報の漏えいだ。この課題に対しては、IMlogicの製品や「Symantec Mail Security」といったゲートウェイ製品によるコンテンツフィルタリングで対策を提供していくとバートン氏は説明した。

 「悪者をきちんと閉め出すとともに、重要なものが間違った人の手に渡らないよう内側にとどめておく」(バートン氏)

 メッセージを巡るもう1つの大きな波は、さまざまな法的規制への対応だ。「要請に応じて電子メールなどを証拠物件として提出できるよう、必要な期間データを保管しなければならない」とバートン氏。同時に、こうして保存している膨大なデータの中から「必要なデータを迅速に見つけ出せるようにしておかなければならない」(同氏)。

 この課題に対しSymantecでは、アーカイブシステム「Enterprise Vault」をベースに、「Discovery Accelerator」などのアドインツールを組み合わせて対処できるとした。

 特徴は、ただデータを保管するだけでなく、同時にインデックス付けとフィルタリング、カテゴリ分けを行うことで「非構造データの検索と分析、管理を行い、必要なものを迅速に見つけ出し、復元することができる」(バートン氏)こと。さらに、どのユーザーがどんな相手と頻繁にやり取りを行っており、レスポンス率はどの程度かといった細かな情報までを把握し、レポートとしてまとめることも可能という。

 また法令遵守の側面では、抽象的なさまざまなポリシーをITシステムに反映させる「Symantec Policy Manager」も有効だという。この製品では、人間が読める形式のコーポレートポリシーを、システムレベルのポリシーに「翻訳」し、各システムにマッピングしていくことができる。また、実際の実行履歴をアーカイブすることで、ポリシーが適切に守られているかどうかを把握することも可能という。

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