トラブルと無縁ではないがVoIPユーザーの満足度は高い――SupportSoft調査(1/2 ページ)

SupportSoftが発表したリポートによると、トラブルはあるものの、ケーブル事業者のVoIPサービスに対してユーザーはおおむね満足しているという。SkypeやVonageではマーケティングが優先事項だが、ケーブル事業者はサービスの品質向上に努めているのだ。

» 2006年06月02日 19時05分 公開
[Paula Musich,eWEEK]
eWEEK

 VoIP(Voice over IP)サービスを利用する消費者が増え、一大市場になろうとしている今日、既存ユーザーは現在のサービスにおおむね満足感を抱いていることが、SupportSoftが5月31日に発表した新たな報告書から分かった。

 調査対象となった100名のケーブル(CATV)によるVoIPサービスのユーザーのうち、61%が利用中のサービスに満足していると答えた。とはいえ、そのうちの34%はサービス導入から90日以内に問題が発生して技術者を呼んだと答え、さらに16%は故障のため2度以上技術者の派遣を求めたとしている。

 こうした矛盾はなぜ生じたのだろうか。SupportSoftの製品マーケティング/管理担当ディレクターのマーク・イツコウィッツ氏は、「VoIPサービスの初期ユーザーは、不具合の発生に寛容である傾向が強い」からだと推察する。SupportSoftは、カリフォルニア州レッドウッドシティに拠点を置く、リアルタイムサービス管理プロバイダーだ。

 同調査は、VoIPを利用している100名のケーブルサービス契約者と、SkypeおよびVonageといったVoIP専門企業や、DSLもしくは衛星プロバイダーのVoIPサービスユーザー167名を対象として実施された。Vonageなどの端末を用いるVoIPのユーザーでは全体の57%が、SkypeなどのPCベースVoIPのユーザーでは全体の48%が、現行のサービスに満足だと回答している。

 また、VoIPサービスの品質に信頼が置けると答えたユーザーは、VoIP通信に特化した専用サービスよりも、CATVのVoIPサービスを利用している場合に多く、後者は前者の2倍となった。

 ボストンにあるYankee Groupの消費者リサーチ担当上級副社長、ボイド・ピーターソン氏は、複数の原因がこのような結果につながったと述べている。

 「ケーブル事業者にとって、映像/データ/音声統合サービスの利用者は価値のある存在なので、より手厚いサービスを提供しようと努めている」(ピーターソン氏)

 一方で、SkypeやVonageなどのVoIPサービスは「単なるアプリケーションであり、これらのサービスプロバイダーに対して品質を強く期待する声は大きくない。消費者は、きめ細かいサポートは受けられないことを覚悟しているのだ。ちょうど携帯電話のようなものと考えればよい。品質は固定電話よりはるかに劣るだろうが、コストメリットが高いのだから利用価値はある、というわけだ」とピーターソン氏は説明した。

 Yankee Groupでは、VoIPのユーザーは今年末までに840万人に達すると予測している。

 サービスプロバイダーがユーザーに対する物理的な接続形態をコントロールできないSkypeやVonageのようなVoIPサービスでは、問題を抱えたユーザーへの対応は「第三者の善意に頼るほかない」と、イツコウィッツ氏は話す。

 すなわちこうしたサービスにおいては、サービスプロバイダーの命運は「高速データ回線(プロバイダー)が握っている」(イツコウィッツ氏)というのだ。

 調査では、ケーブルVoIPユーザーがケーブル事業者の複数のサービスを頻繁に利用している実態も浮き彫りになった。ケーブルVoIPユーザーの実に80%が、ケーブル事業者のブロードバンド(データ)サービスを利用しているという結果が出ている。

 「今日では、誰もが責任追求のエキスパートになった。責めを負わせる対象が一点に集中していると安心できるのだ」(イツコウィッツ氏)

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