タカラトミー、顧客分析システムの本格稼働を開始

SAS Institute Japanは、タカラトミーが玩具の開発戦略の一環として「SAS BI Server」を導入し、顧客分析システムの本格稼働を開始したと発表した。

» 2006年06月07日 20時23分 公開
[ITmedia]

 SAS Institute Japanは6月7日、タカラトミーが玩具の開発戦略の一環として「SAS BI Server」を導入し、顧客分析システムの本格稼働を開始したと発表した。これにより、顧客意識に関するデータ分析のように従来は時間の掛かっていた処理をリアルタイムで行ない、迅速に顧客ニーズを把握できるようになった。これを、商品の企画、開発をはじめ、広告を含むマーケティング活動や生産管理に活用するとしている。

 同社では、ウェブサイトや商品のファンクラブサイトから玩具に対する意見など顧客からの情報をアンケート形式で収集/分析する。そして、その結果を活用することで消費者の心をつかむ新商品開発やマーケティング活動を実行するために、システム構築を行なってきたという。

 従来、顧客のアンケート情報は、商品開発や営業などの各部門が、多岐にわたる玩具製品ごとにデータを表計算で集計していたという。そのため、アンケート集計から分析までの一連のプロセスに数週間掛かり、顧客情報を迅速に商品開発や生産計画につなげることが困難だった。また、分析の視点をきめ細かく設定することができず、顧客分析の可能性に限りがあった。

 そこで、タカラトミーは、増大するアンケートデータの迅速な処理や、ユーザー部門によるワンクリックでの容易な調査結果の閲覧や分析、ユーザー部門の視点からの分析、短期間での導入などが可能であることを重点において、BIやデータマイニング製品の評価を行った。そして、2005年8月に「SAS BI Server」「SAS Enterprise Guide」「SAS/STAT」の採用を決定。同年9月末に「SAS BI Server」の導入を完了させ、試験的な稼働を開始し、2006年4月に本格稼働を開始した。

 SASが採用された主な理由として、開発途中でもユーザー部門の要求を柔軟に取り込む事ができることが挙げられた。例えば、当初のシステムは年齢別の分析を提供していたが、乳幼児の細かなニーズの相違が把握できないという現場の声が挙がり、月齢での分析も提供するように変更された。同じように、関東や東北地域などの地域ブロック別のみであった分析も、より地域性が把握できる都道府県別に改められたという。

 そのほか、使い慣れたウェブブラウザー上で操作が可能、分析を専門としないユーザーでもリアルタイムに分析情報を閲覧できること、ウェブレポートのユーザー数に制限がなく、同一料金で無制限に利用が可能であること、SASのデータセットを内在しているためリレーショナルデータベースのライセンス購入が不要であることなども理由として挙げられている。

 今後タカラトミーは、直販店やオンライン店舗からのアンケートデータなど、分析データの対象を増加させ、さらに商品開発の強化を図る予定だ。また、顧客の購入履歴を基に新商品を提案するレコメンデーション機能など、マーケティング活動を強化する新たな取り込みを展開するとしている。

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