SOAの現実性に自信を見せる日本IBM

日本IBMはSOAの現在の技術的状況や実導入への現実性を示すコンファレンス「IBM SOA World」を開催した。

» 2006年06月08日 11時21分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 日本IBMは6月7日、SOAの現在の技術的状況や実導入への現実性を示すコンファレンス「IBM SOA World」を開催した。同社常務執行役員でソフトウェア事業担当の三浦浩氏は「IBMのパルミサーノCEOはSOAについて、ユーザー企業のCIOではなく、CEOやCFO(最高財務責任者)と話をするようになっている」とし、ビジネスニーズを満たすことがSOAのカギを握っていることを示した。

常務執行役員でソフトウェア事業担当の三浦浩氏

 また、基調講演を務めたIBMビジネスコンサルティングサービス取締役でパートナーの福井隆文氏は、「少し前までCEOがIT部門に求めることはコスト削減だったが、現在はイノベーションへと意識が明確に変わろうとしている」と話す。

IBMビジネスコンサルティングサービス取締役でパートナーの福井隆文氏

 同氏はGartnerが示した2005年10月現在のSOAのハイプサイクルが、黎明期、過度な期待のピーク期、幻滅期、啓蒙活動期を経て、生産性の安定期に差し掛かっていることを伝えた。その上で、既存の情報システムからサービスを切り出すことがSOAのメリットを享受するための重要なポイントだとしている。

 SOAの特性として具体的に挙げられたのは、SOAによるシステムを構築することの柔軟性、再利用性、拡張性、センス&レスポンド。これを生かすことにより、ビジネス面では、市場の変化への素早い対応、マネジメントサイクルの短期化、TCO削減、コアコンピタンスへの集中、一方、システム面では開発期間の短縮、運用管理コストの削減、既存システムの有効活用の促進といった幅広い効果を見込むことができるという。

 さらに、米IBMソフトウェアグループ、ワールドワイドソフトウェアセールス担当バイスプレジデントのマイク・ボーマン氏は、「人、プロセス、情報の3つの組み合わせがSOAの出発点。そこに、接続性(Connectivity)、再利用性(ReUse)といった要素を絡めるとさらにSOAの利点が生きてくる」と指摘する。

米IBMソフトウェアグループ、ワールドワイドソフトウェアセールス担当バイスプレジデントのマイク・ボーマン氏

 例えば、プロセスの観点からSOA化に成功した企業の1つとして、オートバイの製造販売を手掛けるHarley-Davidsonが挙げられた。マーケティング、プロモーションと予算の管理をエンドツーエンドの視点から最適化することにより、チャネル間の統合の弱さという問題を解決した。

 また、ニュージーランドの物流企業であるTransitは、縦割り組織の弊害があった状況を打破するために、SOAをベースにした企業ポータルを構築した。縦割りのデータに横串を入れるイメージのポータルにより社内のデータが統合され、社員が顧客情報をいつでも取得できるようになるなどの利点を享受することができた。

 IBMはこの日、SOAを推進するための組織「IBM SOA Partner Initiative」を設立したことに触れた。これは、SOAビジネスの早期発掘やパートナー向けの技術セミナーの開催などを行うもの。パートナー企業は、IBMが展開する「SOA Co-Marketing Fund」やプロモーションWebサイト「SOA Business Central」を活用し、効果的なマーケティング活動を行うことができる。また、IBMのSOA専任アーキテクト組織との連携を図ることが可能だ。

パートナー企業を代表してイーシーワンの最首英裕社長が講演した

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