ここからは、ShowNetの全体構成をふかんしていこう。
ShowNetの心臓部となるのがNOCの巨大なラック群だ。まず大手町にあるNTTコミュニケーションズのデータセンターを結ぶ40Gbps×2/10Gbps×4の回線と光伝送装置がここにある。前述のようにシスコ/ジュニパーのマルチベンダーによる相互接続が行われており、GMPLS制御装置なども設置してある。スイッチ/ルータ類には、シスコシステムズの「CRS-1」、ジュニパーネットワークスの「T640」、ファウンドリーネットワークスの「BigIron RX4」、アラクサラネットワークスの「AX7800S」、エクストリームネットワークスの「BlackDiamond 12804R」など、キャリアレベルの性能を誇る機器が収められている。
もちろんスイッチ、ルータ以外にも、DHCPサーバやDNSサーバ、Webサーバなども設置。さらに、ブルーコートの「Proxy SG8000」、シスコの「WS-C6504E」と「ASA5500シリーズ」、TippingPointの「5000E」など、多数のセキュリティ装置も使われている。
このようなセキュリティデバイスのトラップやアラートは、NOCルームにおいて集中的に監視・管理されている。前述のように、攻撃が行われた場合にビジュアル表示によって管理者に分かる仕組みがつくられている点も大きな特徴だ。誰でも理解できるタンジブルなビジュアライゼーションは、今後ネットワークやセキュリティのオペレーションで必須のものとなっていくという。
それぞれの会場ホールに目を転じてみると、幕張会場のホールは全部で7カ所あり、ホール1〜3までがエンタープライズ向け、ホール4〜6までがISP向け、ホール7は一般ユーザー向けというように、ホールごとにテーマ性のあるネットワークが構築されていることが分かる。バックボーンは主に10Gbpsクラスのイーサネットだが、ホールによってレイヤ1〜3のリングトポロジーが採用されている。このリングトポロジーは、今回のShowNetの大きなポイントとなる。ROADM(伝送装置で使われるプロトコルの1つ)やRPR(レジリエントパケットリングの略)によって冗長化され、障害に対しても万全の体制が図られている点は見逃せないところだ。
各ホールには「POD」(Pedestal Operation Domain)と呼ばれるShowNetの骨格を成すラック群が点在している。PODは合計9カ所(NetCafe、ShowNet TVを含む)ほど設置されており、NOCと光ファイバでつながっている。各フロアに張り巡らされた光ファイバやUTPは、天井のメッセンジャーワイヤの上に乗せられており、POD間を結んでいる。これらの保守点検は、STMと呼ばれるメンバーによって行われているという。
PODの具体的な構成だが、フロアのネットワークやノード数によって変わってくる。基本的な構成は、ケーブル系、光伝送路系(WDM装置)、ルーティング系、セキュリティ系(専用デバイス、監視サービス、トラフィックモニタリング、監視カメラ)となっている。このほか、UPS(無停電電源装置)や熱対策用クーラーなどもある。
ホール1には、いつでも来場者がインターネットに接続できる「ShowNetCafe」が設置されている。セキュリティ上の観点もあり、利用できるPCはWindowsマシンではなく、SUSE Linuxのみとなっている。このCafeの一角では、ウイルス感染のデモが行われていた。
ShowNetは、Interopというイベントを支える基盤となるものだが、最新のテクノロジーへのチャレンジにもかかわらず舞台裏として稼働していたため、PODなどの機器以外はあまり前面に出てくることはない。だが取材を通して、IP、光、セキュリティ、メディアといったテクノロジーの原点に立ち返り、これらを新しく組み直す「Net 2.0」というコンセプトを実感することができた。
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