シンクライアントシステムを実現する仕組みシンクライアントの真価を問う(2/3 ページ)

» 2006年06月14日 15時30分 公開
[宮本久仁男,ITmedia]

・ネットワークブート型

 ローカル側にHDDを持たず、PXEなどのネットワークブートの仕組みを用い、ネットワーク経由でOSをブートする方式である(図3)。ブート後は、ストレージなどについてもネットワーク上に用意されたものを用いることが多い。

図3 図3●ネットワークブート型

 製品としては、Ardenceなどで実現されている。

・ブレードPC型

 ブレードPC上などで動作する環境を1人が1つずつ占有する方式である。この方式を取る場合には、実際に1人に1台のブレードPCを割り当てる場合(図4)と、仮想マシンなどで構成した仮想PCのインスタンスを割り当てる場合(図5)がある。

図4 図4●ブレードサーバ型
図5 図5●仮想PCインスタンスを割り当てるブレードサーバ型

 前者の場合は、実際の入出力に遠隔KVM製品を用いることができる。後者の場合、物理的なPCは1台しかないため、リモートデスクトップ機能などを用いて仮想PCのインスタンスに接続する。

・組み合わせ型

 ここに紹介した各方式は、必ずしも排他的(いずれかの方式しか取れない)というわけではなく、それぞれを組み合わせることも可能だ。例えば、ネットワークブートを行った端末で画面転送型のシンクライアント端末ソフトウェアを稼動させるということも可能である。筆者の勤務先で開発している「RitaOffice」などはこのタイプに当たる。

製品ごとの特徴

 これまでの説明と若干かぶるが、今度は具体的な製品を紹介してみよう。

・Windowsターミナルサービス(WTS)

 Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition以降で実装された。前述の分類で言うと画面転送型の製品であり、現在ではWindows Server 2003に標準搭載されている。管理ユーザーのための例外もあるが、このターミナルサービスを利用するには、ターミナルサーバクライアントアクセスライセンス(TS-CAL)が必要となる。

Citrix Presentation Server(CPS/旧MetaFrame)

 以前は「MetaFrame」という名称だったが、現在は「Citrix Persentation Server」となっている。これも画面転送型の製品だが、単に画面データを転送するだけでなく、帯域が狭い(通信速度が遅い)場合でも実用性を高めるために画面転送の仕組みに工夫を加えている。サーバとクライアントの間は「ICA」という独自プロトコルで通信を行う。また、画面転送型に分類してはいるが、特定のアプリケーションについてのみ画面を転送する製品もある。

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