IBM、自動化ソフトをオープンソースコミュニティーに公開

IBMはApache Software Foundationに対し、データセンターにおけるアプリケーションやトランザクションの問題検出/修復を自動化するソフトウェアを提供した。

» 2006年06月15日 17時36分 公開
[Paula Musich,eWEEK]
eWEEK

 IBMは6月14日、データセンターにおけるアプリケーションやトランザクションの問題の検出/修復を自動化するのに役立つソフトウェアをApache Software Foundationに公開したことを明らかにした。

 IBMでLinuxとオープンソースを担当するワールドワイド副社長、スコット・ハンディー氏によると、このソフトウェアは、自社のオートノミックコンピューティング構想ならびにWeb Services Distributed Management(WSDM)標準への貢献活動の一部としてIBM社内で導入されており、「ユーザーのデバイス(アプリケーション、サーバ、ストレージなど)にWSDMインタフェースを組み込むためのフレームワーク」を提供するという。

 サードパーティーの管理アプリケーションプロバイダー各社は、このフレームワークを利用して、WSDMインタフェースに準拠したシステム管理ツールを作成することができる。

 IBMでは、このフレームワークをオープンソースコミュニティーに提供することにより、WSDMを実装しようとしているほかのベンダーが「生産性を大幅に改善できる」と考えている、とハンディー氏は話す。

 WSDM標準の普及促進も、IBMの目的の1つである。DMTF(Distributed Management Taskforce)が開発しているWSDMは昨年、標準化団体のOASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)によって標準として認定された。

 DMTFのメンバーが進めている標準策定作業では、多くの組織が並行して開発を行っていたため、別個のプロジェクトの間で作業が重複していた。

 IBMは、自社でのフレームワークの実装は、オープンソースコミュニティーに公開できるまでに堅牢であると判断したようだ。コミュニティーに提供することで、標準化作業が加速する可能性があるという。

 「われわれは同じコードベースを共有しているため、開発作業を大幅に迅速化することができる」とハンディー氏は話す。

 IBMのフレームワークは、同社の共通イベントフォーマット用の標準インタフェースセットを提供する。このフォーマットは、ほかのアプリケーションがイベントに関する情報を利用して、原因を特定・分析し、修正措置を講じることができるような形でイベントを記述する。

 IBMがApache Software Foundationを選んだのは、その優れた実績が理由である。

 ハンディー氏によると、Apache Web Serverは、Webサーバ市場で約78%のシェアを確保し、サーバ市場で25%のシェアを持つLinuxよりも成功しているという。

 IBMのフレームワークのコードは、オープンソースのApache Muse Projectの一部として提供される。開発者は、このプロジェクトを通じてアイデアを交換し、コードの改良に向けて協力する。

 同社のソフトウェア構想の最終目標は、何百もの仮想サーバを運用しているデータセンターの管理のコスト削減と簡素化に貢献することである。

 WSDM標準を支持しているベンダーとしてはIBMのほかに、CA、BMC Software、Tibco、Siebel、日立、富士通、Cisco Systems、Amberpoint Softwareなどがある。

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