「オートノミックは既に多くのビジネス価値を生み出している」とIBM副社長

米IBMでオートノミック・コンピューティングを担当するデビッド・バートレット副社長は、「オートノミック技術は、既に目に見える形でビジネス上の大きな価値を生み出している」と話した。

» 2005年09月08日 00時26分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日本アイ・ビー・エムは9月7日、都内のオフィスでグリッドとオートノミックに関するプレスブリーフィングを行った。

 顧客やパートナー向けのセミナーのために来日したオートノミック・コンピューティング担当副社長、デビッド・バートレット氏は、「自己管理型のシステムをつくりあげるオートノミック技術は、既に目に見える形でビジネス上の大きな価値を生み出している」と話した。Reuters、Technicolor、ebayに混じって、ニイウス、日本ビジネスコンピューターといった国内事例もバートレット氏は紹介した。

 オートノミック(自律型)・コンピューティングは、オープン化やWebコンピューティングの浸透によって複雑になってしまったITインフラのさまざまな問題に対処するもの。高い可用性や柔軟性をシステムにもたらすため、市場ニーズやそれに伴う負荷の変化に追従できるほか、コストの大幅な削減にもつながるという。

 「運用管理コストの上昇に対処するのは、オートノミック・コンピューティングの課題であり、チャンスだ」とバートレット氏。

 企業が自己管理型のシステムをつくりあげるには、異種混在のIT環境を包括的にカバーするアーキテクチャーやオートノミックの標準化が必要だ。IBMでは、オープンな標準化を推進すべく、さまざまな標準化団体に17の仕様を提出したという。

 バートレット氏は、中でも「Web Services Distributed Management」(WSDM)と「Solution Deployment Descriptor」の2つを挙げ、同社の貢献や、富士通、NEC、日立製作所といった日本ベンダーとの協業の重要性を強調した。OASISで採択されたWSDMは、IBM Common Base Eventがベースとなっており、「業界初の共通ログフォーマット」として60社以上の賛同を集めたという。Common Base Eventは、異種混在のさまざまなITリソースから得られるログを共通ログフォーマットに変換してアナライザーにかけることで障害発生時に専門家でなくとも問題を判別し、切り分けられることを狙っている。「オートノミック管理エンジン」や「ソリューションインストレーション」と並んで、IBMがオートノミック・コンピューティング・ツール・キットで提供している中核技術だ。

 日本IBMではこの日、パートナー支援プログラムとして「IBM自己管理型オートノミック・テクノロジー・マーク・プログラム」を国内にも導入することも明らかにした。

 Common Base Eventを生成したり、オートノミック管理エンジンやソリューションインストレーションの使用が条件となるが、バートレット氏は「標準ベース技術の採用はもちろんだが、最も重要な基準は目に見えるビジネス価値を提供できるか否か。それがグリッドやオートノミックを企業顧客に普及させる決め手となるからだ」と話した。

 なお、グリッドやオートノミックをテーマに大学生および大学院生から論文を募集する「グリッド/ACスカラーズ・チャレンジ2005」も発表した。

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