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» 2005年03月17日 19時30分 公開

日本IBMが大規模データグリッド構築、効率化のカギは仮想化技術

日本IBMと高エネルギー加速器研究機構は大規模なデータグリッドシステムを構築した。カギを握る仮想化技術は、IBMが40年に渡ってメインフレームで培ってきたものだ。

[浅井英二,ITmedia]

 日本アイ・ビー・エムは3月17日、同社と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が大規模なデータグリッドシステムを構築したことを明らかにした。

 データグリッドは分散するデータをどこからでも共有できる技術。KEKの新しいシステムでは、加速器を用いた素粒子物理の膨大な実験データを日本国内の大学はもとより、オーストラリア、韓国、台湾などの研究機関が安全性や整合性を確保しながら協調して解析を進められるという。

 大規模な実験プロジェクトとしては、CERN(欧州原子核研究機構)のデータグリッド環境がよく知られている。KEKのシステムもIBM eServer上でCERNが開発を進めているグリッドミドルウェア「LCG」が稼動する。

 今回は研究開発機関での応用例だが、グリッドコンピューティングは企業にも着実に浸透を始めている。日本IBMでLinuxやグリッドという成長ビジネスを担当する三島英司先進システム事業部長は、「Linuxだけでなく、グリッドのビジネスも対前年比70%という大幅な成長を遂げている」と話す。

 グリッド実現に向けて最も基礎となるのがコンピューティング資源を仮想化する技術だ。この日、同社が行ったプレスブリーフィングには、米本社で仮想化ソリューションを担当するナイジェル・デッソー副社長が出席し、仮想化によるITインフラストラクチャーの簡素化の重要性や、企業がコンピューティング資源を仮想化するステップなどを説明した。

 ご存じのようにサーバ単体のコストは下がっているが、設置台数が増えるに伴い、管理運用コストが増大している。「しかも、企業の運営に致命的なダメージとなる危険性があるため、管理者たちは既存インフラの変更に踏み切れない」とデッソー氏。これでは、IBMが掲げるオンデマンド・ビジネスへの道は遠い。

 仮想化は、コンピュータ資源を物理的ではなく、論理的に見せること。デッソー氏は仮想化を「同種資源」「異種資源」「全社資源」、そして「企業にまたがる資源」という4つの段階に分類して説明した。

 彼によれば、同種の資源、例えば、ストレージの仮想化が最初のステップとなる。市場の90%はこの段階にあるという。IBMでは「Virtualization Engine Suite for Storage」を用意し、そうしたニーズにこたえている。

 次のステップは、UNIXサーバやWindowsサーバという異種の資源を仮想化し、一元管理する段階だ。市場の7%が取り組むこの段階では「Virtualization Engine Suite for Servers」がキーとなるという。

 「仮想化技術はメインフレームによってIBMが40年に渡って提供しているもの。それを異なる分野に提供すれば、もっとITを効率化できる」とデッソー氏は胸を張る。

 「メインフレームの利用効率は80%以上。ほかのシステムはせいぜい15%に過ぎない。解は仮想化にある」(デッソー氏)

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