身の丈に合ったデータベース選び進化する!データベーステクノロジー(5/5 ページ)

» 2006年06月19日 07時00分 公開
[ITmedia]
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注目度が高まるオープンソースデータベース

Linux、Javaをはじめとするオープンソースソフトウェア(OSS)の技術は、インターネット系システムを中心に導入されてきた。しかし、大手サーバベンダーのOSSサポート体制が拡充するにつれ、徐々に企業の基幹システムへの導入も始まっている。特に、オープンソースのデータベースはシステムのTCOを削減するための手段として、注目が高まっている。以下、オープンソースデータベースの主要3製品を紹介する。

日本国内で最も多く採用されているPostgreSQL

 PostgreSQLは、国内で最も多く採用されているオープンソースデータベースである。1986年、カルフォルニア大学バークレイ校において開発プロジェクトがスタートし、現在はPostgreSQLグローバル開発グループによって開発が続けられている。独自にデータ型を定義して組み込めるユーザー定義型、独自に関数定義を行えるユーザー定義関数を早い時期からサポートしており、オブジェクトリレーショナルデータベースとしても定評がある。

 最新版の「PostgreSQL 8.1」は、2005年11月にリリース。データベース権限が複雑に関連する大規模なユーザー管理が簡単に行えるロールのサポート、広域ネットワーク上に分散したサーバ間でトランザクション処理を可能にする2相コミット機能など、先進的データベース機能を取り入れたほか、マルチプロセッサ環境における性能改善、数GBのテーブルに対する性能とデータ管理を改善するテーブルパーティショニングなどの新機能も搭載されている。

高速なパフォーマンスに定評のあるMySQL

 MySQLは、GNU GPLと商用ライセンスのデュアルライセンス形態を採用し、スウェーデンのMySQL ABが著作権を持つオープンソースデータベース。他のオープンソースデータベースに比べてパフォーマンスに優れていると言われており、全世界のオープンソースデータベースでは最も高いシェアを誇る。データストレージエンジンをSQLエンジンと分離し、用途に応じてストレージエンジンを選択できるマルチストレージエンジン方式を採用する。

 最新版の「MySQL 5.0」では、開発者の生産性を向上させるストアドプロシージャ、複雑なビジネスルールをデータベースレベルで導入できるトリガ、機密情報が破損、改ざんされていないことを保証するビュー、メタデータに簡単にアクセスできる情報スキーマ、複数のデータベースに渡る複雑なトランザクションをサポートする分散トランザクションなど、豊富な新機能が追加されている。また、メモリ内テーブルを改良し、パフォーマンスが改善されている。

ボーランドのInterBaseから派生したFirebird

 Firebirdは、ボーランドがオープンソースとして公開したInterBase 6.0のソースコードをベースに開発が進められているデータベースだ。独特のマルチジェネレーションアーキテクチャによって、すべてのトランザクションは他のトランザクションの影響を受けずにレコードのバージョンを持てるという特徴がある。元々は商用データベースだったため、高度なトランザクション管理機能、ストアドプロシージャ、トリガ、ユーザー定義関数などの機能を網羅している。さらにInterBaseとの互換性もあり、InterBaseと同様にボーランド製の開発ツールからのアクセスが容易である。日本では導入例は少ないが、欧米では多くの導入実績を持っている。

 最新版の「Firebird 1.5」は、C++への移植された新しいコードベースによってビルドされた(公開されたInterBase 6.0のソースコード、およびそれを利用したFirebird 1.0はC言語で作成されていた)。また、SQLクエリオプティマイザの改良により、クエリ性能が大幅に向上したほか、1フェーズで複数のトリガを行う包括的トリガのサポート、データベースの別名を付けられるデータベースエリアス機能、テーブルごとに定義可能なインデックス数の拡張、新しいコンテキスト変数などの機能強化が図られている。

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