直接か、ネットワークか――ストレージの繋ぎ方を考えるファイバチャネルか?IPか? SANテクノロジー最前線(1/2 ページ)

大容量化する情報の保管場所として、企業システムにおけるストレージの役割は非常に重要である。従来は、サーバコンピュータに直接接続し一体として扱われてきたストレージだが、現在はデータを確実に保護するためにコンピュータから分離し、「ストレージエリアネットワーク(SAN)」によって管理されることが多くなった。まずは、「SANとはどういうものなのか」など、SANの基礎を確認しておこう。

» 2006年06月20日 07時00分 公開
[ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「ファイバチャネルか?IPか? SANテクノロジー最前線」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


DAS――コンピュータにストレージを直接接続

 ストレージシステムは本来、コンピュータの「外部記憶装置」として扱われるものである。つまり、コンピュータとストレージシステムは、各種インターフェイスによって直接つながっていることが一般的だ。

 この構図は、現在も大きく変わりはない。例えば、大部分のPCは、ATAインターフェイスを経由してハードディスクが接続されている。ATA以外にもATAをシリアル化したSATA(Serial ATA)、USB、IEEE1394など、いくつものインターフェイスがある。サーバの場合はSCSIが主流であり、ファイバチャネル(FC:Fibre Channel)もある。最近では、SCSIをシリアル化したSAS(Serial Attached SCSI)も登場した。

 ただし、いずれのインターフェイスであっても、基本はコンピュータとストレージが「直接接続」されていることが前提になっている。このストレージの接続形態をDAS(Direct Attached Storage)と呼ぶ。

 PCだけでなく、サーバでも今なお一般的なDASだが、DASにはコンピュータとストレージとの間で高速なI/Oが可能であり、導入コストが安価だというメリットがある。

 その反面、DASには数多くの短所、欠点がある。例えば、パフォーマンスの面では、データを共有するときにホストサーバを経由する必要があり、それが性能のボトルネックになる。可用性の面では、ホストサーバがダウンした場合、他のコンピュータからデータにアクセスできなくなる。

 運用コストの面では、ホストサーバによってストレージの使用量にばらつきが発生し、無駄な空き容量が生じるケースが多い一方で、アクセス過多なサーバではディスクの容量不足も頻繁に発生する。さらに、バックアップなどの管理面では、それぞれのホストサーバにアクセスする必要があり、作業が煩雑で手間がかかる。

 サーバが少数ならば、こうした短所、欠点は見えにくい。しかし、サーバ台数とデータ容量が増大すればするほど、DASのデメリットが目立つようになってくる。

DASの接続形態。個々のサーバにストレージが直接接続される
       1|2 次のページへ

Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ