業務メールがスパムに埋もれている――シマンテック調査

シマンテックが国内企業を対象に行った調査によると、企業が受け取るメールのうち約20%はスパムだという。

» 2006年06月20日 20時51分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「企業内個人の半数以上は、スパムメールを『受信するたび手動で削除』している」――シマンテックが国内企業を対象に行った調査からは、こんな実態が明らかになったという。

 この調査は、同社と第三者調査機関が共同で、4月から5月にかけてWeb上で実施したもの。企業のネットワーク管理者572人、企業内のエンドユーザー608人から有効回答が得られた。

 調査によると、規模を問わず、企業が受け取る電子メールのうち2割程度がスパムメールだという。実数によるものではなく、あくまで回答者の感覚に基づく数字だが、1日の平均メール受信数の約7万7000通と掛け合わせれば、1つの企業が1日当たり1万5000通ものスパムメールを受け取る計算だ。

 一方で、IT部門/担当者が一括してスパムメールへの対処を行っている割合は38.8%に過ぎない。「まだまだ企業としての一環とした対策がなされていないのが現状」(同社SMB&エンタープライズマーケティング部、セグメントマーケティングマネージャの田上利博氏)という。

 結果として47.5%のエンドユーザーが、自力で対処を行っている状態だ。その方法を見ると、スパムを受け取るたびに手動で削除を行っているという回答が57.7%、メールソフトのフィルタリング機能などで対処しているという答えは40.6%に上った。

 こうしたスパム処理に費やされる時間は、1日平均4.4分。ほとんど時間はかからないと回答したユーザーが41.3%あった一方で、1〜5分程度かかるとしたユーザーは22.9%、5〜10分程度かかるとした人も12.2%あった。全体ではなく、スパム受信率が30%を超えるユーザーに絞って処理時間を見ると、1日平均11.2分に上り、10分以上処理に費やしているユーザーが47.6%に達した。当たり前だが、スパムが増えれば増えるほど、対処に要する時間も増加している。

 スパムメールの増加はユーザーに不愉快な気分を感じさせるだけでなく、実際の業務の妨げともなっているという。たとえば「仕事のメールが探しにくくなる」と回答したユーザーは36.7%、「仕事のメールを削除してしまう」というユーザーも23.2%に上った。つまり、「スパムの影響は生産性を低下させる」(田上氏)という。

 同氏は、「従業員数が増え、スパムの受信率が高まれば高まるほど、企業にとってスパムがもたらす生産性低下の影響は大きくなる」とし、そうした視点から経営者が真剣に対処を考えるべきだとした。

 なお、シマンテックが定期的にまとめている脅威レポートによると、ワールドワイドでは全メールのうちスパムが占める割合は50%程度。これに対し今回調査の20%という数字は低く見えるが、「全体の流量が増えているのは確か。増えれば増えるほどスパムメールの影響は大きくなる」とし、企業全体としての対策の必要性を訴えた。

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