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» 2006年06月23日 06時59分 公開

ブログで開かれたEC第3ステージECサイト構築の新基準(2/2 ページ)

[成川泰教(NEC総研),ITmedia]
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 企業側がブランドの形成や維持・強化のために目をつけ始めたのが、インターネットで顕在化してきた消費者の意見である。

 企業にとっての理想は、影響力のあるオピニオンリーダーに、自社の商品の優位性について雄弁に語ってもらう、ということにほかならないわけだ。しかし、この手法はひとつ間違えれば、何の効果も生み出さないばかりか、容易に消費者から反感や不信を引き起こしかねない危険性をはらんでいる。そのようなリスクを見極めながら、さまざまなトライアルが重ねられているのが現状だといえるだろう。

 新たな手法がまず成果を上げている領域として、旅行関連やグルメ、化粧品などの体験的側面が強い商財があるようだ。これらの商財については、以前からいわゆる口コミサイトが得意としてきた領域であるが、ブログなどの新しいツールは、さらに深く多様なオピニオンを集成することを目指す方向に動いている。

生活者の情報発信目的はリスク回避から経済収入へ

 一方の生活者の情報行動も急速に進化している。これまでは、自らの体験や意識を発信し、ほかの消費者や事業者と共有することで、失敗や無駄のないよりよい消費を実現するという、間接的な利益を目指すことが中心であった。

 しかし最近では、もはや消費者としての役割を超えており、情報行為から経済的な利益を得ようとする、広告手法の一部として機能する段階になっている。そうした新たな変化の現状を、もう少し具体的なデータに基づいて見ていくことにしよう。

 NEC総研では、先ごろ「ブログ・SNS利用者の実像」と題した報告書を発表した(関連リンク)。これは、先に述べたCGMの代表であるブログおよびSNSを利用するユーザーが、具体的にどのように使い、そこに何を求めているのか? が調査結果として記されている。実際に利用者が重複し、機能的にも似通った部分がある2つのサービスについて、その相対的な関係を明らかにすることを目的とした調査となっている。

 中でもアフィリエイトへの注目が高いこともECとのかかわりで欠かせないものだが、ユーザー動向を見れば女性の割合が高いことが分かる。未導入者7割のうち、3割は経験者だが、まだできていないという潜在利用者であり、やはりブロガーからの関心は高いようだ。未経験者の意見には、やり方が分からないといった仕組み上の難しさが障壁となっている意見が多く、未経験とコメントする人の中には、「効果がない」「お金儲けをしていると思われたくない」など積極的にそうした手法を否定する、ある意味「硬派」な意見も一定数存在する点は興味深い。

 それでは、導入の効果はどの程度のものだろうか? 経験者にブログから得られる平均月収を問うところ、半数を少し上回る人が「500円未満」と回答している。残る半数弱はそれ以上かと思いきや、実はそうではなく、約2割は「分からない」と答えている。つまり導入者の約7割は、ほとんど成果をあげていないというのが実態であり、誰しもあこがれる「稼ぐブログ」の実情は厳しいものといえるのだ。

稼ぐブログから探るEC第3ステージの生活者

 それでは、逆に月に500円以上の収入を得ているというブロガー達の実像とは、どのようなものだろうか。

 性別では、男性がやや多いもののあまり大差はない。世代別では、男性で35〜44歳、女性では34歳以下が多い。

 また、エントリーを毎日更新する人の比率は、500円未満の者に比較してほぼ1.5倍であり、1日当たりに100以上のPVを記録するブログが、ほぼ半数近くに達する。

 さらにコメントやトラックバックなど、自己のブログへのリンクを張ることに積極的に取組んでいる傾向があり、特にトラックバックについては消極的な一般ブロガーに比較し、特に際立った活用をしている。

 エントリーに書く内容については、世の中の話題に敏感な一方で、書籍や音楽、映画、芸能、スポーツ、グルメといった、ある意味多くの人に共通的な趣味に関する内容はむしろ控えめであることも分かる。その代わりに、「それ以外の自分の趣味」に関するものが極めて多くなっている。「仕事に関すること」が多いことも併せて考えるには、かなり専門的な内容に特化している様子がうかがえる。

 ここまで述べてきたような事業者や生活者の動向は、まだトライアルの段階を脱しておらず、今後定着するかについても、十分な見極めができていない。しかし、こうした新しい生活者の実像を見ても、これからのマーケティング手法が、細分化、あるいはロングテール化の方向に向かっていることは確かだ。さらなる進化が求められることが分かるだろう。そして広告やECにおけるインターネットの活用は、もはや切り離すことができない状況になっているのだ。

 ブログに続いて利用者が拡大しているSNSについても、同様の視点であり、ブログとは異なる何らかのメリットが注目されつつある。それがどのような形で、ECとの関わりを持ち得るのか含め、今後の動向から目が離せないところである。

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