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» 2006年06月23日 06時59分 公開

ブログで開かれたEC第3ステージECサイト構築の新基準(1/2 ページ)

インターネット利用を加速させるオンラインショッピング。その動向から分かるのは、CGMとのかかわりと市場が従来までにはなかった販売形態へと変化していることだ。

[成川泰教(NEC総研),ITmedia]

広告とECの融合でネットビジネスは新展開へ

 インターネットにおける市場拡大はとどまるところを知らない。その代表格として、オンライン広告とEC関連の市場の伸びが顕著だ。市場は2005年以降、新たな段階に入った観が強い。そして、話題を欠かさないGoogleこそがその象徴ともいえるだろう。

 Googleを追う、EC企業の二大勢力であるeBayとAmazonも、利益拡大の鈍化は否めないものの、売上高の伸びは依然として続いている。同様の現象は日本やヨーロッパなど、インターネット先進各国でも確認することができる。

 最近、特に強く感じられるのは、ネット広告とECの境界がかなりあいまいになってきているということだ。

 この点はある意味、インターネット市場の本質がいよいよ姿を現し始めたということだと考えている。Web 2.0と呼ばれている一連の考えは、それに対する解釈ということだろう。そして、この状況において特に重要な役割を果たしているのが、ブログやSNSに代表されるCGM(Consumer Generated Media)の存在だ。

 従来の広告や流通ではあり得なかった、インターネット独自の価値をもたらす本質であり、その出現は市場の質的変化にさらに拍車をかけ、状況を複雑化させている。

ブログで開かれるEC第3ステージ

 筆者自身も、日常生活ではECへの依存度はかなり高い方だ。いままでの経験からこの市場の歴史を振返ってみると、課金や認証、あるいは商品リコメンドなど、Webサイトを中心としたECの基本的仕組みが確立したのは、2000年ごろだったと思う。これがいわばECの第1ステージであり、「ネットで買物ができる」という認識を、一部の先進的生活者に確立した時代ということになる。

 続く2000年以降の第2ステージでは、そうしたWebサイトとメールの組み合わせが重要な役割を果たした。音楽や書籍、衣料品など、筆者が特にECに依存している商財の購入について考察してみると、最近では、事業者からのメールを起点に買い物をするケースがほとんどになっている。

 確かに、いろいろな事業者から送られてくるメールに辟易している人も多いかもしれないが、お気に入りのショップから届くメールの効果は絶大だ。従来のチラシやDMが、店への誘導を目的にしたものだったのに対し、こうしたメールは、店そのものが新鮮な商財を持って出張してくる感覚に近い。購入の意思決定はそこでダイレクトに行われているわけだ。ECサイトで行われる簡単な決済の手続きだけというスタイルは、いちど慣れてしまうと極めて便利なものだろう。

 折からインターネットの普及拡大も手伝って、この間、EC市場も急成長することになる。取り扱われる商財の領域が多様化すると同時に、その深さが増すいわゆる「ロングテール」も一気に進んだ。いまやネットで買えないものはないのでは? と思えるほどだ。

 そして同じころ、Googleが新たな広告手法を生み出し、広告の世界にもロングテールを含めた新たなスタイルが持ち込まれた。時期を同じくして出現した、ブログやSNSなどが、一般生活者による情報発信を飛躍的に拡大したことも忘れてはならない。いわば情報発信主体のロングテール化も急激に進行しているわけである。

 これらのツールが主流となり始めた2005年以降、ECは明らかに新たなステージに突入した。従来からある、Webやメールを使った手法はさらに洗練される一方であり、広告は限りなく購入手段に直結するようになっている。AdSense広告や各社のアフィリエイトプログラムのような、情報発信のロングテール化に対応した、新たな広告手法も整備されてきている。これがEC第3世代の主役である。

ブランドの細分化がバイラルの活用を促す

 こうした状況の元、事業者は新たな手法がもたらす質的変化を敏感に感じ取っている。それらを活用することでさらなる市場の拡大を目指しているのだ。

 背景には、従来からある宣伝広告におけるコスト削減と効果性の可視化という側面に加え、消費者のニーズが、規模あるいは質的な面で従来のマス広告の上に乗せられることが難しい領域へとシフトしていることが挙げられる。

 ひと昔前の日本では、ブランド=企業名という構図が通例であったが、現在では企業は多数のブランドを抱えている。インターネットでも、企業名のドメインはもっぱらコーポレートサイトとして機能し、商品やサービスのマーケティングは、それぞれの銘柄を冠した独自ドメインで展開するケースが散見される。

 こうしたニーズの細分化に対し、かつては商品やサービスの集成として維持されて来たブランドは、いまやそれぞれの商品単位での競争に迫られている。その中心にあるのが、商品そのものであることは言うまでもない。しかし、激しい競争下で、商品による決定的な差別化を産み出すのは困難を極めているのも事実だ。

 一方で、従来のマス広告で多用されたイメージ戦略もまた、イメージそのものに対する感性がロングテール化しており、十分な効果をあげにくくなっている。

 それでは、EC全盛ともいえる状況に企業はどのように取り組んでいけばよいのだろうか?

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