SiebelとOracleの本格融合でCRM市場の制圧を図るオラクル

 日本オラクルは同社のCRM戦略の最新の状況について説明した。

» 2006年06月26日 21時32分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 日本オラクルは6月26日、記者向けのブリーフィングを行い、同社のCRM戦略の最新の状況について説明した。米Siebelを買収した結果、CRM市場で最大のシェアを持ったOracleは、今後はSiebelとOracleのアプリケーションをより緊密に連携させることによってさらなる価値を顧客に提供することを強調している。

 同社執行役員でアプリケーションマーケティング本部長を務める藤本寛氏は、「オラクルの戦略は顧客の競争力の源泉をソフトウェアによって支援していくこと。顧客に提供する価値も、これまでのコスト削減をはじめとした業務効率の改善から、売り上げの拡大を中心とする高付加価値化へとシフトする」と同社の基本となる考え方を話す。

 そこで、CRMについて同社が取り組むのは、Siebel CRMとOracle Applicationsの統合だ。同社は、両者を結合するための橋として「Instant-Value Integrations」を提供する。

 それに関連して、この日説明されたのが「Project Genesis」と呼ばれる構想だ。これは、SiebelのOrder CaptureからOracle Order Managementへの連携や、Siebel CRM On DemandとOracle E-Business Suiteとのつながりなど、現行の製品を拡張することで、ユーザーに迅速に価値を提供するための業種向けプロセスを構築する取り組みとなっている。このほか、Genesisには、Siebel Contact On DemandとOracle E-Business Suite、PeopleSoft Enterprise CRMへの連携、Siebel CRMとi-flex FLEXCUBEの統合、Siebel ClinicalとOracle Clinicalの統合などが含まれている。

 Genesisによる新たなSiebel製品について藤本氏は「遅くとも今年度中には提供する予定」と話している。

 連携部分の拡張のほかにも、分析系CRM市場をリードするSiebelとERP向け分析KPIを提供するOracleでは、さまざまな機能面で違いがあり、相互に補完する形でCRMアプリケーションとしての完成度を上げていく考えだ。たとえば、ホスティング型のCRMサービスを提供する場合には、顧客企業が持つさまざまな個人情報をデータセンター内で保護したり、セキュリティを確保したり、サービスレベルを維持したりといった取り組みが求められる。このとき、Oracleがアプリケーションのホスティングセンターとなり、CRMアプリケーションサービスの質を高めることになる。

 なお、この日は、日本の各市場における重点製品について明らかにされている。

 大企業向け製品はSiebel Enterprise、中堅企業向けはSiebel Professional Edition、中小企業向けはCRM On Demandとなっており、新規顧客に提供するCRM製品は基本的にSiebelで統一する。また、藤本氏は「まず試しにCRM On Demandを使い、その後、Siebel Enterpriseなどのハイエンド製品に移行してもらうシナリオも描いている」とも話した。

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