日本オラクル、BI市場向け取り組みに本腰

日本オラクルは、BI向けの新たな戦略を打ち出し、BIプラットフォームの新製品として「Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition」「Oracle Warehouse Grid Builder 10g Release 2」を新たに提供することを明らかにした。

» 2006年06月27日 21時04分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 日本オラクルは6月27日、記者発表会を行い、ビジネスインテリジェンス(BI)向けの新たな戦略を打ち出し、BIプラットフォームの新製品として「Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition」「Oracle Warehouse Grid Builder 10g Release 2」を提供すると発表した。

 同社常務執行役員でシステム製品統括本部長を務める三澤智光氏は「業務ごとに個別最適されたBIから、全社基盤として全体最適化されたBIへと今後トレンドがシフトする」と話す。そこで、同社はこの日2製品のリリースとBI専任部隊の設立を明らかにしている。また、同氏は今後のBIに求められる要件として、データ保護やアクセスコントロールを確実に行えるセキュアな環境と業種への特化なども挙げている。

BI市場での目標について、「2007年にBI市場で首位になる」と話す三澤氏

 この日発表されたBusiness Intelligence Suite Enterprise Editionは、BIプラットフォームであるOracle Business Intelligence Suiteの上位版という位置付けになる。最大の特徴は、IBM DB2、Microsoft SQL Server、NCR TeradataなどOracle Database以外からデータを収集し、BI機能を提供できるようになったこと。データを収集できるだけでなく、OracleとSQL Serverの各テーブル間でジョイン関係を結んでOLAP分析を行うなど、これまでは考えられなかった機能が実装されている。

 なお、Oracle Business Intelligence Suiteシリーズは、発表された「Enterprise Edition」と、従来のOracle Discovererを中心としたツール群である「Standard Edition」の2製品で構成される。Enterprise Editionの価格は、19万6875円から。最少で50ユーザーからの利用となっている。

 一方、この日明らかにされたもう1つの製品、Oracle Warehouse Grid Builder 10g Release 2は、データウェアハウスの設計、構築をより迅速かつ効率的に行うためのツールキットとなっている。

 Oracleは現在、データウェアハウスシステムの構築においても、グリッドに準じた技術を実装しようとしている。つまり、人事や財務、製造などの業務システム、ETL、データウェアハウスなどの各システムを稼働させるサーバマシンを、それぞれ別々にセットアップするのではなく、グリッドのイメージで、すべてのシステムの処理をすべてのサーバが共有するイメージで構築する。同社はこれを「ウェアハウスグリッド」と呼んでいる。

 これにより、ピーク時にBIシステムに掛かる負荷を複数のサーバに分散し、また、CPUパワーを有効に利用できるようになる。また、処理がすべてのサーバで共有されるため、単一障害点がなくなり、インフラとしての堅ろう性を高くすることができる。システム拡張は、安価なサーバを随時追加するスケールアウトで実施できる。

 一方で、従来の一般的なシステム構成では、業務システム、ETL、データウェアハウスなど、機能ごとに、処理のピークに合わせたサーバ構成を取らなくてはならなかった。さらに、信頼性を向上するためにHA(ハイアベイラビリティ)構成などを実装すると、コストが非常に大きくなってしまう。しかも、こうした準備をシステムごとに構築しなくてはならない。

 実際に、この構成でデータウェアハウスを構築しているのがAmazon.comだ。同社は、Oracleのグリッドによるインフラを活用して、ETLとデータウェアハウスの機能を同一サーバで提供するシステムを構築した。夜間はETL処理を重点に置き、日中はデータウェアハウスに使われるリソースを増やす。これにより、1台のサーバのパワーが昼も夜も効率的に利用されていることが分かる。

 この日は、6月からBI専任の営業組織とコンサルティング組織を新設し、80名体制という大きな規模でBIビジネスを展開することも併せて明らかにしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ