XPロゴより高いハードル、Vistaで厳格になるソフトウェア認定(1/3 ページ)

Vistaの新しいアプリケーションロゴのガイドラインはXPよりも厳格になり、従来のロゴで品質が保証されたアプリケーションでも、Vistaで認定されるには追加的な作業が必要になるかもしれない。

» 2006年07月04日 07時00分 公開
[Greg DeMichillie,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Windows Vista用の新しいアプリケーションロゴのガイドラインは、Windowsソフトウェアの認定に関するMicrosoftのアプローチが大きくシフトしたことを表している。すなわち「長大なアプリケーションカタログを用意するよりも、アプリケーションの品質を保証するほうが重要である」という方向転換だ。従来のロゴで品質が保証されたアプリケーションも、Vistaで認定されるためには追加的な作業が必要になるかもしれない。しかし、より厳格な認定プログラムは、あまたの競合製品を淘汰し、ソフトウェアの価値を高めるものになる。ただ、Microsoftが同プログラムを成功させるためには、従来のプログラムとの違いを明確にするとともに、新しい認定アプリケーションがより安全で信頼性が高く、インストールや保守も容易であることを、ユーザーに十分納得してもらわなければならない。

 ソフトウェアのロゴプログラムは、ハードウェアベンダーやOEMを対象とした同様のロゴプログラムを補完するものになる(これらのプログラムの詳細については、「Upgrade AdvisorとロゴプログラムでVistaとの付き合い方を判断」を参照)。

重層化された認定プログラム

 Microsoftのソフトウェアロゴプログラムには、次の3つの目的がある。

  • 互換アプリケーションの長大なカタログでWindowsの価値を高める
  • Microsoftが普及させたいと考えるWindows機能を取り込んだアプリケーション開発をISVに督励する
  • Windowsの最新バージョンで問題なく実行するプログラムを顧客が選択しやすくする

 ロゴプログラムの認定要件は、アプリケーション開発で回避すべき一般的なプログラミングエラーを示したリストでもあり、内部利用が前提のカスタムアプリケーションの開発にも役立つ。ロゴの認定要件に適合したカスタムアプリケーションは、一般的に堅牢で、Microsoft OSの将来バージョンでも実行できる可能性が高い。

 ISVやMicrosoftの製品グループが認定ロゴを取得するためには、開発したアプリケーションをサードパーティの検証組織に送り、Microsoftが定義した一連の検証テストにパスしなければならない。ところがWindows XPのロゴテストは、実は意外に見掛け倒しだった。例えばXPロゴの主要な認定要件の1つは、「基本機能を安定的に実行できる」というものだが、極めて緩やかな要件であり、クラッシュする可能性のあるアプリケーションでさえも認定ロゴを取得できた。

 しかし、ここ数年、ユーザーはWindowsアプリケーションの数より、むしろ品質に関心を持つようになった。そしてロゴプログラムは、そうした人々にアプリケーションの品質に関する指標を提供するものだ。「このアプリケーションは問題なく動作する」とユーザーに安心してもらうために、Microsoftは今回、2階層のロゴプログラムへ移行する。低い層では、開発者がアプリケーションの「Works with Windows Vista(Windows Vista対応)」を自己認定できるようになる。高い層は、「Certified for Windows Vista(Windows Vista認定)」のラベルを求めるISV向けで、XPロゴと同様、サードパーティの認証組織によるテストにパスしなければならない。Certified for Windows Vistaロゴでは、要件がより厳格なり、アプリケーションを最小限のアカウント特権で実行できるUser Account Control(UAC)など、Vistaの高度なセキュリティ機能への対応が不可欠となる。

  Certified for Windows Vistaロゴの要件は3つのカテゴリーに分類される。セキュリティと互換性、インストレーション、そして信頼性だ。

セキュリティと互換性の要件

 セキュリティと互換性の要件の狙いは、アプリケーションがMicrosoftの推奨するセキュリティガイドラインをサポートしているかどうかを確認することだ。そのガイドラインには次のようなものが含まれる。

User Account Control対応
 MicrosoftはVistaで、Windowsセキュリティアーキテクチャを大幅に変更する。この変更は、ウイルスやその他のマルウェアがマシンに侵入するリスクが高いにもかかわらず、Windows XPでは日常的に行われていた管理者特権での利用を避けるように、ユーザーを促すのが狙いだ。Microsoftの目論見が成功するためには、まずは開発者たち(自社を含む)が不必要に管理者特権を要求しないアプリケーションを開発していかなければならない。

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