まず、間違いだらけの電源環境をチェックしよう備えは万全? サーバの災害対策(3/4 ページ)

» 2006年07月06日 11時55分 公開
[高橋隆雄, 松井一朗,ITmedia]

Check Point 2:落ちないはずのブレーカーが落ちる?

 電源は足りているはずなのにブレーカーが落ちた経験はないだろうか。

 この原因は、「力率」にある。理科では電力は次の式のように教えられるはずだ。

電力(W) = 電圧(V)×電流(A)

 この計算は、電池のような直流においては正しい結果になるが、サーバに使われる商用電源は交流であるために正しくない。交流電源では電圧と電流の間に「遅れ」や「進み」が生じるため、電圧と電流を乗したものは電力とはならない。交流電源における電力は次のようにして求められる。

電力(W) = 電圧(V)×電流(A)×力率

 例えば、100V電源で動作するサーバの消費電力が500Wであった場合に、その電流は次のようにして求められる。

電流(A) = 500(W)÷ 100(V)÷力率

 ここで問題となるのが力率だが、実は電源の種類や方式によって異なり、その値を求めるには実際に測定しなければ分からないことが多い。とは言え安全を見込んだ一般的な係数としては0.6〜0.7程度を使うことが多い。つまり、500÷100÷0.6 = 8.33(A)となり、500÷100よりもかなり大きい値となる。例えば30Aのブレーカーでは30Aが制限値なので、500Wのサーバを6台接続できるのではなく、500Wならば約8Aなのでせいぜい4台までということになるわけである。

 実はこの電流と電圧を乗した数値はVA数または皮相電力と呼ばれ、電源系統の設計では、こちらの数値が重要となる。UPSの定格では、ワット数でなくこのVA数を表示しているものもある。

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