EMC、RSA買収で獲得した暗号化技術を活用へ(2/2 ページ)

» 2006年07月06日 17時44分 公開
[Matt Hines,eWEEK]
eWEEK
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 市場観測筋によると、EMCはRSAのSecureID製品シリーズ、特にコンシューマー向けのアプリケーションを単独で販売することにはあまり関心がなさそうだが、同社が獲得した知的財産を有効に活用すれば、これらの製品の販売中止に伴う損失を相殺できるという。

 マサチューセッツ州ケンブリッジにあるForrester Researchのアナリスト、ポール・スタンプ氏は、「これくらいの規模の買収ともなれば、100%のマッチングということはないだろうが、EMCの戦略に適合しないビジネスであっても、そのうちの幾つかは残されるだろう」と予測する。

 「SecureIDは非常に利益率の高いビジネスだが、これに取って代わる可能性のある技術がほかの企業から登場しつつある。データ認証という広範なコンセプトで考えれば、RSAの技術はEMCの現在の戦略に非常にうまくフィットする」(同氏)

 スタンプ氏によると、ILMに取り組んでいる企業が、どの従業員がデータ暗号化ツールへのアクセスを許可されているかをきちんと把握したいと考えているのであれば、RSAの技術が最も適しているという。しかしEMCがSecureIDの売却するつもりであれば、SymantecやMicrosoftなど、関心を示すバイヤーは多数いるだろう、と同氏は話す。

 「データセキュリティの市場は拡大中であるが、ベンダー各社はまだ十分に対応できていない。大手ITベンダーは、ユーザーの要求に応える必要がある。SymantecやMicrosoftがSecureID技術の獲得に動く可能性は十分にある。これはIT業界全般にわたる顧客ニーズの変化の表れでもある」(同氏)

 スタンプ氏によると、EMCとRSAの合併は、スタンドアロンのセキュリティ技術がITプロバイダーのコア製品に統合されるというトレンドを示すものだという。データアクセスおよび暗号化による情報保護に関するポリシーを管理する技術は、EMCの総合戦略にぴったり適合する、と同氏は話す。

 専門家の中には、RSAの買収はEMCにとって重要な動きであることを認めながらも、ストレージ企業であるEMCが、この買収を通じて獲得するすべての技術を維持するかどうかは疑問だとする人もいる。

 コネティカット州スタンフォードにあるGartnerのアナリスト、ピーター・ファーストブルック氏は、「EMCが何らかの形でセキュリティに取り組みたいと考えていたのは明らかで、ストレージ暗号化技術を獲得する必要があった。この目的のために、RSAの買収を通じて多くの技術知識を手に入れようとしたのだ」と分析する。

 「それ以外のRSAの事業の扱いがどうなるのかは、今ひとつはっきりしない。一部の事業が、CAやMicrosoft、Novell、Sunといった大手アクセス管理プロバイダーに売却されることになったとしても驚かないだろう」(ファーストブルック氏)

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