OpenDocumentを選んだベルギー政府Trend Insight(2/2 ページ)

» 2006年07月07日 12時49分 公開
[Koen-Vervloesem,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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Open XML

 Open XMLが公式なオープンスタンダードとして認められる途上にあることを、Microsoftのデグラーベ氏は次のように主張している。「昨年11月、われわれは欧州の標準規格団体ECMAに提出し、現在、承認の手続きが進められている。 OpenOffice.orgでOpen XMLファイルを開くプラグインを開発するためにオープンソースコミュニティーがこれらの仕様を使っていることが、Open XMLのオープンスタンダード性を示している。また、ODFに次ぐXMLベースの第2のオープンフォーマットの必要性も証明されている。われわれの顧客の中には、すでにODFを評価して、自分たちのニーズには合わない、と結論を下している組織も幾つかある」

 ECMAで認められ次第、Microsoftは、Open XMLをISOの委員会に提出することができる。その後、Open XMLがISOの仕様になれば、ベルギー政府がODFに加えてOpen XMLも採用する可能性がある。「しかし、今のところ、ECMAとISOの各認定手続きがいつ完了するのかは明らかにできない」とDe Graeve氏は話している。認定が得られるまでは、オフィススイートを利用するベルギー政府の省庁にとってODFのサポートが適切な解決策になるかどうかについて、Microsoftは調査を進めているという。「ODFのプラグインが手に入り次第、評価を行う予定だ」(同氏)。

スケジュール

 ODFへの移行スケジュールもまた明確にはなっていない。閣僚会議による最初のプレスリリースには、連邦政府の各省庁ではODF文書の閲覧を2007年9月から可能にする必要があること、2008年9月からは省庁間でやり取りする文書にODFだけが認められること、という2つの時期が記されていた。この2007年9月という時期は、閣僚会議後の報道陣との会合でバンベルトーベン大臣が明らかにしたものだった。しかし、数時間後にはどちらの時期もプレスリリースから削除された。ストリックス氏は、「最初のプレスリリースは、閣僚会議の決定を正しく伝えていなかった。現在、FedictがIT部門の管理者との間でこれらの時期について合意を取ろうとしている。Fedictの案が承認され次第、時期を明らかにする予定だ」と説明する。De Graeve氏は次のように補足している。「プレスリリースを読んですぐ、われわれは、詳細な情報を求めてバンベルトーベン大臣に連絡を取った。プレスリリースには2つはっきりしない点があった。Fedictが新しいプレスリリースを発表したところを見ると、彼らもまた同じように感じたようだ」

 ベルギー政府がMicrosoft製品に代わってどのODF対応製品に移行するかは未定だが、デグラーベ氏は次のように述べている。「閣僚会議の決定に対してわれわれが詳しい説明を求めた理由はそこにあった。また、決定のタイミングも非常に微妙だ。というのも、現在進行中の幾つかの開発に依存しているからだ。Open XMLの認定はまだ完了しておらず、Microsoft Office向けの十分な品質のODFプラグインが現れるかどうかも確実ではないし、それにまだわれわれはMicrosoft Office 2007をリリースしていない」

 文書のやり取りにODFを採用するというベルギー政府の決定がどのような結果をもたらすかは、まだ分からない。その詳細が見えてくるのはこれからだ。ただ、1つ明確なことがある。ベルギーではオープンスタンダードが重視されているため、自社製品が政府で採用されることを望むソフトウェア会社は、オープンスタンダードを採用しなければならない、ということだ。

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