アジア太平洋地域でビジョンと戦略を語るBEABEA APAC Press and Analyst Summit Sydney 2006 Report(2/2 ページ)

» 2006年07月13日 06時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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AquaLogicはサービスネットワークのビジョン

 AquaLogicファミリーは、いわゆるエンタープライズ・サービス・バス(ESB)と呼ばれている「AquaLogic Service Bus」をバックボーンとし、データを統合する「AquaLogic Data Services Platform」や分散コンピューティング環境をポリシーベースで管理する「AquaLogic Enterprise Security」を基盤に組み込んでいる。こうした基盤の上にビジネスプロセスを統合するBPMやユーザーインタラクションを統合するポータルの機能が加わり、さらにさまざまなサービスを組み合わせるコンポジッション環境がツールとして用意される。

 「AquaLogicは、サービスネットワークの技術的なビジョン。研究開発や買収によってさらにファミリーを拡充していく」と話すのは、ツールの開発を統括するビル・ロス副社長。

かつてはプロダクトマーケティングを統括していたロス副社長

 BEAはAquaLogicファミリーを発表した2カ月後の昨年8月にポータルソフトウェアのリーディングベンダーであるPlumtree Softwareを買収、今年3月にはBPMベンダーとして知られるFuegoも買収し、空白だった領域を積極的に埋めている。

 ちなみにロス氏が担当するツール分野でも昨年9月にM7を買収、Eclipseベースの統合開発環境を獲得している。現在はBEA Workshopの名称で販売している同ツールは、オープンソースおよびStruts、Hibernate、Java Server Face、JavaServer Pageといった業界標準フレームワークをベースとしたWebアプリケーション開発をサポートするのが特徴。同社が掲げる「ブレンデッド」(Blended)戦略の核となるツールで、元々のBEAの統合開発環境であるWebLogic Workshopと年内にも統合される計画だ。

 バイス副社長は、「われわれは昨年度、7社を買収したがさらに加速する。しかし、データベースやアプリケーションは買わないし、大型買収もない。あくまでもSOAプラットフォームにフォーカスし、顧客のSOAアプローチによるBusiness Liquid-IT-yを支援するのが狙い」とし、競合他社の買収戦略との違いを強調する。

 異種混在と簡素化、オープンソースによる革新とミッションクリティカルな信頼性といった、従来であれば、両立させることの難しかったことも、BEAが目指す「Business Liquid-IT-y」では実現できる。

 しかし、バイス氏は、「SOAには忍耐が必要」と話し、SOAに対して安易な幻想を抱くことにクギを刺すことも忘れなかった。

 「SOAは1つの大きなプロジェクトではなく、複数の、しかも比較的小さなプロジェクトを繰り返すことによってROIが達成される。3年のレンジで考えなければならない」(バイス氏)

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