第2回:エンタープライズLinuxに求められる機能エンタープライズLinuxの実力(4/4 ページ)

» 2006年07月19日 09時00分 公開
[松井一朗,ITmedia]
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カーネル2.6を補うディストリビューション独自機能

 カーネル2.6の登場によって、LinuxはUNIXにまた一歩近づいたと言えるだろう。しかし、UNIXを完全に置き換えるには、まだ足りない部分もある。

 今後開発される次期カーネルでは、ディスクやネットワークの多重化、プロセッサ、メモリ、I/Oデバイスのホットプラグサポートなど、RAS(Reliability: 信頼性、Availability: 可用性、Serviceability: 保守性)機能の強化が望まれている。また、障害発生時のデバイス名の一貫化、周辺機器の仮想化を含むリソース管理、カーネルトレースなどの障害対策に関する機能も組み込まれていくだろう。こうしたカーネルの強化によって、Linuxは本当にUNIXに追いつけるのだ。

 ただし、いつの日になるかも分からない次期カーネルの登場を待っているわけにもいかない。そこで各ディストリビューションには、カーネル2.6を補う機能が搭載されている。

 SUSE LINUX Enterprise Serverには、IBMと共同で開発したカーネルリソース管理システム「CKRM(Class-based Kernel Resource Management)」が搭載されている。これは、カーネルリソースを動的に割り当てることで、1つのプロセスがメモリ、プロセッサ、ネットワークなどのリソースを占有しないようにするものだ。

 また、TurbolinuxやMIRACLE LINUXでは、クラッシュダンプ機能が強化されている。万一障害によりシステムが停止しても、落ちる前に何が起きたのかLinuxがディスクに書き出すので、メモリ上で処理されていたデータの復旧や、プログラムのバグなどの障害対策を講じることができる。

Linuxカーネルクラッシュダンプ(LKCD)の保存メカニズム

このコンテンツはサーバセレクト2006年3月号に掲載されたものを再編集したものです。


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