ワークグループサーバの主な用途であるファイルサーバを考えてみよう。もともとネットワークOSであるLinuxでは、FTPなどのプロトコルを利用したファイル転送が可能だ。しかし、Windowsクライアントとの親和性を考慮すると、Sambaの導入が最適なソリューションになる。
Sambaは、Linuxを含むUNIX系OSが稼働するサーバを、Windows互換のファイルサーバ/プリントサーバにするためのオープンソースソフトウェアとして生まれた。現在では、Windows Serverのドメインに参加する機能もサポートしている。LinuxディストリビューションのほとんどにはSambaが搭載されている。
Windows Serverと比較したSambaのメリットとしてまず挙げられるのが、コストが削減できることだ。例えば、Windows Server 2003 Standard Editionと、Sambaによるソリューションを提供しているMIRACLE LINUXで比較してみよう。Windows Server 2003 Standard Editionは企業で一般的に導入される「Open Business License」の推定小売価格が13万円。一方のMIRACLE LINUX V4.0は、6万3000円。単体のサーバライセンスで比較しただけでも、コストは半分になる。しかし、それだけではない。Windows Serverがクライアントからアクセスするために、1ユーザーまたは1デバイス当たり5200円の「CAL」(Client Access License)が必要なのに対し、MIRACLE LINUXではどんなにクライアントユーザー数が増えてもCALは一切発生しない。そのため、数百人規模のファイルサーバを構築すると、そのコスト差は数百万円単位になる。
Sambaと並んで注目されているのが、「Open LDAP」である。LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)は、ディレクトリサービスを利用するためのプロトコルの1つであり、Windows Serverが提供するActive DirectoryもLDAPに準拠している。Open LDAPでは、ディレクトリサービスのアクセス制御、通信の暗号化、ディレクトリのレプリケーションなどを行う機能を搭載する。このSambaとOpen LDAPを組み合わせることで、Windows Serverを統合したディレクトリ環境を構築できる。
これらの機能はすでにディストリビューションに含まれているが、実際にシステムを構築して運用するにはノウハウが求められる。Linuxによるワークグループサーバが普及するには、Samba + Open LDAPとWindows Serverとの統合環境がよりスムーズに構築できる仕組みが必要になるだろう。
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