富士通、日立にどう追いつく?――NECサーバ事業の新ビジョンに思うニュースコラム(2/2 ページ)

» 2006年07月20日 09時00分 公開
[石森将文,ITmedia]
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ビジョンに基づく展開はNECだけの取り組みではない

 しかし当然ながら、自社のビジネスにビジョンを与え、それに基づいた製品・サービス展開を行うという試みは、NECだけのものではない。特にサーバ市場においては、富士通の「TRIOLE(トリオーレ)」や、日立製作所の「Harmonious Computing(ハーモニアス コンピューティング)」が、カバーする分野に若干の相違こそあれ、類似したコンセプトとして挙げられるだろう。

 実際この7月19日には、今回のNECの発表に相次ぐかたちで、富士通がNX7700iと同様にMontecitoを搭載した基幹IAサーバPRIMEQUESTの新機種を、日立が「BladeSymphony」による独自のサーバ仮想化機構をそれぞれ発表した。そのどちらも、富士通はTRIOLE、日立製作所ではHarmonious Computingに結び付けられたアクションとして位置づけられており、規模の大小を問わずサーバの管理に携わる人間であれば、注目すべきニュースである。

 また両社は、「Platform Solution Center(富士通)」や「ハーモニアス・コンピテンスセンタ(日立製作所)」という拠点を持ち、広くユーザーに対し、ソフト・ハード含めた自社サーバソリューションの啓蒙に努めてもいる。

 ここで気になるのは、今回のNECの新ビジョンが比較的テクノロジーに寄っており、いわゆるハンズオン的な取り組みや、サポートサービスの拡充といった内容が、少なくとも発表内容からは見えてこないことだ(下図参照)。もちろん実際にはNECも、同種の試みを実施しているわけだが、残念ながら富士通・日立の取り組みほど認知されているとは言い難い。

REAL IT PLATFORMの概念図(NECサイトより)

本当の“現実解”をもたらすには?

 日々、社内システムの管理に携わる人間にとって、NECが本当に“現実解”を提供してくれるのであれば、それは歓迎すべきことである。ただ同時に、現実解とは決してテクノロジーだけで求められるものではないことも、管理者であれば身に染みて理解しているはずだ。

 欲を言うならばNECには、これまでの常識では考えられないような手厚いサポートの提供や、柔軟な(かつ格安の)導入・運用支援といった施策を打ち出してほしい。そういった要素と優れたテクノロジーが、REAL IT PLATFORMのもとに打ち出されることで、ユーザーにとっての“現実解”がもたらされるはずであるから。

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