今はやりのILM導入、その前に押えたい6つのポイント今どきのバックアップ入門(2/3 ページ)

» 2006年07月28日 08時30分 公開
[堀江徹,ITmedia]

ILMに向けた6つのポイント

 ILMの管理手法を検討・導入する際には、いくつかの重点なポイントがある。特に電子メールデータを例に取りながら、そのポイントを見ていこう。

1.セキュリティ

 長期保存を前提としたILMでは、完全なセキュリティ環境の下でデータを保管することは必須条件だ。つまり、保管後のデータに対するアクセス制御が非常に重要になってくる。ミッションクリティカルなデータは、特にアクセス権限のない人間によって持ち出されたり、漏えいされてはならないはずだ。既にミッションクリティカルになりつつある電子メールのデータを考えた場合、最近では法務部門や経営者によるデータの監査に対応する必要が出てきた。そのためには、ストレージデバイスのWORM(Write Once Read Many)機能を利用して、改ざん防止を考える必要がある。

2.データのインデックス化

 一般的なILMソリューションでは、データはインデックス化されて保管される。インデックス化することで、多様なアプリケーションから必要なデータを容易に検索できるようになるからだ。特にデータ保存に関する規制への対応を考えると、法的な開示要求に対応するためには、求められたデータを迅速に抽出する必要がある。

 例えば、対象とするデータが電子メールのような場合には、インデックス化と同様にデータ自身の分類情報が必要だ。現在、一般的な企業での1日の一人あたりのメール送信量は10Mバイトと言われる。企業で大量に送受信されるメールデータをILMで管理するには、細かなメール保存に関するポリシーに適合させるため、分類項目に対応できる機能が必要だ。インデックス化だけでは、多様な目的でやりとりされる電子メールをその情報を分類するのは困難だろう。日本では、電子メールのアーカイビングの要件に関して、あまり認知されていないようだが、現時点でのメールデータ量の増加率を考えれば、メールの細やかな管理がすぐに必須になるだろう。

3.ストレージデバイスの効果的な運用

 データの長期保存を行うなら、ストレージデバイスの効果的な利用というのが大きな課題となってくる。どんなに大容量のストレージを用意できたとしても、無制限にデータを保存しておくことは不可能だ。ILMの手法でデータを保存すると同様に、データを削除することも重要になる。

 データの削除は、企業のデータ管理ポリシーを策定する際に明確に定義することから始まる。例えば、電子メールデータをILMで管理することを考えた場合、下表のようにフェーズごとにデータの保管場所を定義し、最終的に削除するまでの期限を設定する。こうすることで、初めてストレージの効果的な運用が可能になるのだ。

電子メールのライフサイクルと運用ポリシーの例
メールサーバ 2次ストレージ メール保管期限 保存場所
フェーズ1 3カ月 メールサーバのみの保存
フェーズ2 3〜6カ月 メールサーバと2次ストレージに保存
フェーズ3 6カ月〜1年 2次ストレージにデータ本体を保管、メールサーバにはメタ情報のみ保存
フェーズ4 1年経過後 2次ストレージにのみ保管
フェーズ5 3年経過後 メールデータの削除

 データ保存期限は、データ自身の種類や業種別の規制によって異なる。企業ごとに策定された運用ポリシーによって、データが自動的に管理されるのが望ましいと言える。また、ストレージ内でのデータの圧縮や、ハードウェアの持つSIS(Single Instance System)という重複データの保存を防ぐ機能を組み合わせ、デバイスの効果的な運用を考えるようにしたい。

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