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» 2006年08月04日 15時38分 公開

LTOテクノロジー、メカ部分の秘密バックアップストレージ図鑑(3/3 ページ)

[関根史和,ITmedia]
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WORM

 近年、世界的な動きとして、政府や企業のデータが爆発的に増加し、データを資産としてより効率良く運用管理する事が急務となった。各国政府も、電子データの重要性と保全性を認識し、管理方法や保存方法を法令により定めるようになったのである。米国「SEC17a-4」(米証券委員会の定める電子データの保存規則)や、英国国立公文書館で使用されている規格(「Pro 2002」functional requirements for electronic document and records management systems)がこれにあたる。

 日本でも電子帳簿保存法(1998年)やe文書法(2005年)などの法律制定により、財務関係書類や税務関係書類などの幅広い文書が電子データとして保存可能になっている。このような動きに対応するため、LTOフォーマットとしても、2004年に発表されたLTO 3製品からWORM機能をサポートしている。

 WORMとは、Write Once Read Manyの略で、データを一度書き込んだら、通常の手段によって物理的に編集、変更、上書き、消去などができないデータ記憶技術のことである。1970年代後半から使用され始め、現在は光磁気ディスク技術(例:DVD-R、UDO)、HDD WORM、磁気テープなどで幅広く使われている技術である。

 WORM技術に対応したLTO製品を使用するだけでは、上記のような法令に準ずることは難しいが、システムソリューションの一部としてLTO WORMを活用することにより、法令が要求するデータの完全性、運用基準などを満たせるようになる。

LTO WORM技術

 それでは、他の技術と比較し、LTO技術を使用したWORMはどのような利点があるのであろうか? ポイントは次のようになる。

  • 各国の法令に対応できるオープンフォーマットテクノロジー(詳細は別途説明)
  • 長期データ保存:正しい環境でメディアを管理すれば、最大30年間のデータ保存可能だ
  • 大容量のデータを高速でバックアップ:80Mバイト/sデータ転送レートを持ち、1巻当たりの保存容量は400Gバイト(非圧縮)となる
  • 柔軟性のある製品:同じドライブで通常のデータバックアップとWORMバックアップが可能だ。保存容量もWORMカートリッジを追加するだけで拡張できる

 LTO WORMテープ技術は多階層のセキュリティーシステムを使用することにより、WORMテープカートリッジとして保存されたデータを上書きされないようにしている。WORMカートリッジ自体は、特徴のあるツートンカラー仕様でデーターカートリッジと用意に見分けが付くようになっている。

特徴のあるツートンカラー仕様のWORMメディア(例:HP製WORMメディア)

 WORMテープは、カートリッジメモリ(CM)とテープ表面に記録されているデータ(FIDデータ、EODデータの位置情報など)をリンクすることにで、整合性の取れたWORMテープであることを確認できるようになっている。また、CMにはWORMメディアであることが記録されており、WORMのテープ表面にも製造時にWORM用の特別なサーボデータが書き込まれている。これでWORMメディアが偽造されていないことを確認できる。

CMデータとテープに保存された情報の整合性チェック

 上記の内容を、テープのLoad時、もしくはデータの読み書き時にチェックすることにより、常にWORMの完全性を確認している。また、ドライブとしてもWORMカートリッジを認識した場合、Overwriteコマンドやデータ消去コマンドを受け付けないようになっているのだ。このように、何層ものセキュリティーシステムを使用することにより、WORMメディアの完全性は保たれている。


 2回にわたって、簡単ながらも、磁気テープストレージ市場で急成長を遂げているLTO技術を紹介した。「さまざまな技術の長所を集約したオープンフォーマット技術」がユーザーに広く受け入れられている理由は繰り返し説明したとおりだ。

 第一回のDDS/DATテクノロジーで触れたとおり、企業を取り巻く環境は刻々と変化している。それに連れ、昔から愛用されている磁気テープ技術も常に進化し、ユーザーのニーズを満たそうとしていることがお分かりいただければ幸いだ。

関根史和

日本ヒューレット・パッカード株式会社、ストラテジックパートナー営業統括本部、ストレージOEM営業部。2001年日本HP入社後、テープストレージ製品OEMビジネスのエンジニアとして従事。製品採用活動、製品導入作業、障害対応、など、テープストレージ製品の技術的な部分は何でも関わる。テープ装置開発事業部があるイギリスと、日々英語でやり取りしている。


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