サン、「Java ME」のオープンソース化計画を公に認める(2/2 ページ)

» 2006年08月17日 11時48分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK
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ガバナンスに関する議論の加熱

 SunでJava SE担当の主任エンジニアを務めるマーク・ラインホールド氏は、eWEEKに対し、オープンソースJavaを統括する方法についての議論が白熱しているが、今のところ何の決定も下されていないと語った。

 Solarisのガバナンスモデルは、リリース後1年を経た今日に至っても意見の一致を見ていないが、Sunがガバナンスモデルを確定することなく、オープンソースJavaをリリースする見込みは薄いだろう。

 Javaにはすでに大規模な開発コミュニティーが存在しており、開発中のプラットフォームの安定性および互換性に関して、コミュニティーメンバーが不安に感じている問題を解消しておかねばならないというのがその理由だと、ラインホールド氏は言う。

 「分岐点にさしかかろうとしていることは、承知している。そのままでいいと考える人々は多いが、新しい考え方を受け入れつつある人々もいる」(ラインホールド氏)

 5月16日にJavaのオープンソース化計画を公表して以来、Sunは一貫して、最良の方法をコミュニティーとともに模索し、その意見を広く取り入れていくと宣言してきた。

 eWEEKは同発表後、Sunのソフトウェア部門取締役副社長であるリッチ・グリーン氏にインタビューを申し込んでいる。その際同氏は、開発者からは、オープンソース化を急ぐあまり、互換性が失われるような事態を招いてもらいたくないという要望を受けていると述べた。

 「Sunはこうした声を真剣に受け止めている。開発者が『NetBeans』を使用してアプリケーションを記述している場合は、(アプリケーション同士は)連係できることになるので、NetBeans開発コミュニティーの関心を引くこと、彼らの力を活用すること、その規模を拡大することを中心に取り組みを進めている。同コミュニティーの協力を取りつけることは、非常に重要なのだ」(グリーン氏)

 Sunのオープンソース最高責任者、サイモン・フィップス氏も、Javaのオープンソース化と技術的互換性の維持を同時に実現するのは根本的に可能だが、開発コミュニティーはこの点に関して神経をとがらせておくべきだと指摘した。

 「だれもが、Javaの高い互換性が失われることなど望んでいないだろう。だが、独自製品を市場に浸透させる力のある大手企業が、故意であるかそうでないかは別としても、そうした事態を引き起こす可能性は十分にある」(グリーン氏)

 一部の開発者は、Javaのオープンソース化にきわめて好意的な反応を見せている。「予定よりずいぶんと遅れてしまったとはいえ、Sunは素晴らしい決断をしたと思う。フィードバックを検証し、変更に積極的である点も高く評価できる。彼らには、何もしないという選択肢もあったのだから」と話したのは、サンフランシスコに拠点を置くActiveGridの共同創立者であり、Sunの前執行役員でもあるピーター・ヤーレ氏だ。

 Sunのグリーン氏は8月14日の記者会見で、先ごろ同社のストレージソフトウェア部門がSolaris部門傘下に移動したことを明らかにした。これはすなわち、「Sunのサーバおよびシステムのプラットフォームとしての、さらにはネットワークストレージデバイスのプラットフォームとしてのSolarisの役割が拡大していくことを意味しており、Sunにとっては大きなビジネスチャンスとなる」(グリーン氏)のだという。同氏は、「今後の発表に注目してもらいたい」とも述べた。

 またグリーン氏は、Sunは今もすべてのソフトウェアスタックをオープンソース化するつもりでいると話した。最高経営責任者(CEO)のジョナサン・シュワルツ氏を筆頭に、Sunの取締役はたびたびこうした公約を口にして、オープンソースが同社のビジネスに恩恵をもたらすと主張してきた。

 「オープンソースは製品の質も向上させる。われわれが目指すものはただ1つ、透明性だ。市場においてはより高い透明性とより大きな存在感を追求し、ソフトウェアに関しても同様の戦略を採用している。まだ目標地点にはたどり着いていないが、そこへ至る道は目の前に大きく開けている」(グリーン氏)

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