Red Hatは消息不明なれど、Golden Penguinは完璧LinuxWorld第2日(1/2 ページ)

ラリー・レッシグ教授の力強い基調講演などが見られたLinuxWorldだが、そこにはRed Hatの姿はなかった。彼らはどこに行ってしまったのだろうか。

» 2006年08月21日 08時00分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 サンフランシスコ――水曜日、LinuxWorldはラリー・レッシグ教授の力強い基調講演で再び勢いよく動き出した。講演後、展示会場がオープン。だが、“Red Hatはどこに消えたのか?”このことが本日の最も重要な問題に思われた。

 LinuxWorldはざっと10分おきに“基調講演者”を登場させる。なんて、まあホラはさておき、今週は5つの基調講演が行われる。本日の開幕を飾ったのは、レッシグ教授の基調講演「フリーカルチャー:我が汝に求めるもの」。レッシグ教授は個人参加型カルチャーの話題を取り上げ、現在の環境は“読み書き”カルチャーと法的に対立すると述べた。要所でMuppet ShowやVampire Hunter Dのビデオマッシュアップ、ジョージ・ブッシュ氏とトニー・ブレア氏の映像をつなぎ合わせた滑稽極まる“Endless Love”など見せながら話を盛り上げたのである。

 これらのビデオクリップは愉快なものなのに、現在の著作権法がこの種の創作性を抑圧し、創作者を“海賊”呼ばわりするのはまったくもって面白くない。レッシグ教授は、この種のコンテンツを合法的に創作できるよう法律を改める必要があり、それは自由な読み書きカルチャーを育むことにつながると述べた。

 また、「公正使用は海賊行為でない。公正使用を広げる努力とは成果物を丸々コピーすることではなく、既存の成果物に基づいて新しい成果物を創作できるようにすることだ」とのメッセージをほかの人々に伝えてくれと述べた。そして「Creative Commonsライセンスの下で成果物を拵え、共有しようではないか」と聴衆を鼓舞したのである。

 さらに、レッシグ教授は「公正使用/フリーカルチャーの反対派は資金が潤沢だ」と指摘する。そこで「参加者は制限コンテンツにつぎ込むのと同じ金額を、フリーカルチャーの防衛に取り組んでいるグループの費用に当てたらどうか」と提案する。

 「フリーカルチャーを肯定する論法には2つのやり方がある」と指摘する。第1は、理想を語る“左翼的”方法。だが、これで多くの人々が動くとも思えない。第2は“右翼的”方法。著作権法の下でユーザーの権利を拡大すれば、ビジネスに資し、成長が促され、経済と社会のためになると説く。

 「あらゆる人が参加することが何より大切」とレッシグ教授は言う。「弁護士や政治家に負わされている損害を逆転するには、そろそろ積極的な一歩を示さねば……弁護士やロビイスト、またレッシグ教授のような人間に支配された議論はいずれ顧みられなくなる」

カーネルのロードマップに影響

 次にジェームス・ボトムリー氏の講演に参加した。同氏はSteelEyeのCTO(最高技術責任者)で、LinuxカーネルのSCSIサブシステムメンテナである。講演のタイトルは「Linuxストレージのロードマップ:さて、なぜ1つじゃないのか」。Linuxストレージのことよりも、むしろLinuxの開発が現実にどう進められているかという話が中心で、ほかのオペレーティングシステムや製品のようなロードマップがLinuxになぜ存在しないか説明された。

 ボトムリー氏は、従来のソフトウェア開発手法(VARや顧客がさまざまなやり方で ロードマップに影響を及ぼす)と、企業がLinuxカーネルのロードマップに影響を及ぼすために試すことができる方法との違いを説明した。彼によれば、ロードマップをコントロールする旧来の方法(例えば、VARプログラムや標準化団体に参加して製品の開発に影響を及ぼそうとする)はカーネルの開発には当てはまらないというのである。

 それよりも、ボトムリー氏によれば、カーネル開発者に影響を及ぼす必要性がある企業は、その企業の望む機能をカーネルに実装できるカーネルコーダーを雇う必要があるという。これは完璧な方法でもない。何より、カーネルに影響を及ぼしたいと考える企業は多数存在し、そのため既に日ごろからカーネルに貢献している人々は既に安定雇用の状況にあり、従って現在仕事に就いているカーネル開発者を改めて雇うというのは高くつく企画となりかねないというのである。

 企業は現在擁する社員に機能を実装させ、その機能をカーネルに正式に受け入れてもらうよう努力することもできるが、それには外交的手腕と、その機能が広範囲のユーザーにとって有益なものであることを示す能力が必要である。これに取り掛かる最善の方法は、ボトムリー氏によれば、できる限り包括的な変更を提供し、その際の影響をできるだけ小さくすることであるという。

 ボトムリー氏の講演は素晴らしかったけれど、あえて言うならタイトルにやや難があった。SteelEyeでのカーネル開発の経験を例に挙げていたが、ストレージの話題にはほんの少ししか触れなかったからである。

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