シマンテックおよびジュニパー、新たなセキュリティ関連提携を発表(1/2 ページ)

SymantecとJuniper Networksが発表した戦略的提携からは、次々に現れる脅威に対する備えを迅速かつ経済的に整えたいと考えるユーザーを支援するための動きが見て取れる。

» 2006年09月13日 18時53分 公開
[Matt Hines,eWEEK]
eWEEK

 SymantecとJuniper Networksが、情報と技術開発実務を共有し、ネットワークセキュリティ製品およびサービスの提供により培ったそれぞれの専門知識を相互利用していくことになった。

 セキュリティソフトウェア市場の先頭を走るSymantecとネットワーキング大手Juniper Networksは9月12日、外部の攻撃から企業ネットワークを守る両有力企業のノウハウを共同で利用するための、新たな戦略的提携を結んだことを発表した。

 両社の最高幹部らが戦略と方針をめぐる包括的な協力体制と呼ぶ同提携の最大のメリットは、次々に現れる脅威について2社が情報を共有することで、攻撃に対する備えを迅速かつ経済的に整えたいと考えるユーザーを支援できるようになる点だという。

 報道メディアおよびアナリスト向けに開かれた電話会見では、Symantec会長のジョン・トンプソン氏とJuniper会長のスコット・クリエンス氏が、両社のパートナーシップの概要を説明した。これを介して、2社はそれぞれの顧客のネットワークおよびデスクトップコンピュータに、エンド・ツー・エンドなセキュリティ保護対策を提供していく。

 Symantecのセキュリティアプリケーションが稼働している、世界中の1億台におよぶデスクトップから収集したデータと、業界ではCisco Systemsに次ぐ規模を誇るJuniperの製品によって管理されている、複数の巨大ネットワークの脅威検知能力を併せれば、単独で取り組みを進めるよりもはるかに効率的に、脅威の発生や蔓延の時期を予測できるようになると、トンプソン氏およびクリエンス氏は強調した。

 「提携に踏み切るきっかけとなった要因の1つが、セキュリティ脅威の移り変わりの激しさだ。ここ数カ月間だけでも、新たに登場した脅威の数および種類が増えたばかりでなく、攻撃に対応するまでの時間を短縮する必要に迫られるようになった。われわれが力を合わせれば、エンドポイントからネットワークそのものに至るまでのセキュリティのありかたを検討し、ネットワーク上を流れるデータが安全であることを顧客が確信できるような体制を敷けると考えている」(トンプソン氏)

 両社が今回の提携を明らかにしたわずか1週間前には、MicrosoftとCiscoがそれぞれのNAC(ネットワークアクセスコントロール)技術の連係を実現させたと発表した。業界の観測筋は、MicrosoftおよびCiscoが手を組んだことで、NAC製品の導入が加速すると見ている。MicrosoftはITセキュリティ技術市場への参入に積極的に取り組みんでおり、長らく市場を支配してきたSymantecの強力なライバルになりつつあるといわれている。

 最もトンプソン氏は、カリフォルニア州クパチーノに本拠を置くSymantecとJuniperの提携は長い期間をかけて進められてきたものであり、MicrosoftとJuniperの競合社であるCiscoの提携に対抗する意味合いはないとしている。MicrosoftおよびCiscoは、ネットワークアクセスツールやデスクトップセキュリティポリシーの運用を主な協業対象としているが、SymantecおよびJuniperの提携は、PC向けのウイルス対策ツールからネットワーク侵入検知技術までをも含む、ほぼすべてのITセキュリティ分野の製品に影響を与えると、トンプソン氏は述べた。

 両社の幹部は、このたびのパートナーシップは過去数年の間に締結したいかなるビジネス提携と比べても遜色のないほど親密なものだと喧伝しているが、その一方で、両社の本来の業界におけるほかのパートナーとの関係が損なわれることはないとも主張している。また、同提携が両社の将来的な合併の布石になる可能性についても否定した。

 「今回の提携の延長線上に、そうした戦略は存在していない。Symantecは昨年1年間をVeritasの併合につぎ込んだばかりだし、取り組みの対象となっているセキュリティ問題も、SymantecとJuniperが合併せずとも解決できる類のものだ」(トンプソン氏)

 両社の幹部が明らかにした提携の詳細事項の中では、SymantecはUTM(Unified Threat Management:統合脅威管理)市場向けのカスタムセキュリティハードウェアの開発を中止しており、再開についてはJuniperの意向を尊重するという、トンプソン氏の発表にも注目が集まった。ただし、業界標準プラットフォームに基づくアプライアンスの開発は、今後も続けるそうだ。

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