ストレージはいまだ「箱物」――意識レベルは米国の3年遅れ

SNIA-Jによると、日本企業のストレージに対する意識は単なる「箱物」との考えが依然大半を占めているという。

» 2006年09月15日 11時00分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 日本は3年遅れている――ストレージネットワーキングの普及を目指すSNIA-Jによると、米国に比べ、日本企業のストレージへの意識は過去からあまり変化がない。ストレージベンダーに期待するのは「価格」や「信頼性の向上」。単体の「箱物」との考えがまだ大半を占めている。

 「90年代に米国でストレージネットワークが登場したのは、データの増加に対し管理性を向上させたいという要請があったから。米国企業は、TCOという観点でストレージを見ている」と意識レベルの差を指摘するのは、SNIA-J副会長の菊地宏臣氏。

 SNIA(Storage Networking Industry Association)は、ストレージネットワーキング技術の普及を目指す業界団体。1997年に米国で設立。2002年には世界で3番目の支部として、日本でも活動をスタートしている。

 米国企業はデータの増加によりデータセンターの管理能力を上回り、いち早くストレージのネットワーク化に取り組んできた。これにより論理的なストレージ接続が可能になり、管理がしやすく、コストの面でのメリットは大きい。

 これに対する米国の意識は高く、SNIAの調査では、米国企業は「管理ツール」や「相互運用性」を高めることを期待している。TCOという観点から見ると、新たにネットワークを構築してでも管理性を向上させた方が全体のコストは下がる傾向にある。かつてはサーバの付属品と位置付けられてきたストレージが、重要なシステムとして認知されるようになってきたのには、このような理由がある。

日本のストレージネットワークの理解度は?

 SNIAは、管理性という課題の解決に積極的に取り組んできた。ベンダー間で異なるストレージ管理のインタフェースを標準化する「SMI-S」を推進。ANSIにも承認され、2006年第4四半期にはISOでも承認される予定。SMI-Sに対応する製品も増えつつあり、管理の標準化によるメリットをユーザーも受けやすくなってきている。

ストレージ技術セミナー 9月14日に都内で開かれたストレージ技術セミナーの様子。22日には応用編のセミナーも開催する

 日本のストレージに対する理解はというと、「SANやNASといったテクノロジーの理解がやっと進んできた」という段階。SNIA-Jでは「3年ほど遅れている」と見ている。しかし、徐々に管理という問題にも目が向き始めた傾向も見られるようだ。

 米国では「Storage Network World」を展開し、派手に活動を行っているSNIAだが、菊池氏は「日本市場に合わせた展開の仕方もある」と話す。

 まずは基礎技術セミナーやイベントでのデモンストレーションなどを通して、「SANやNAS、iSCSIなど複雑化するストレージネットワーク技術をもっと理解してもらおう」と、啓発活動に取り組んでいきたい、という。

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