IBMはウォール街に向け、グリッドコンピューティングや高性能コンピューティングに関連する製品を売り込んだ。
米IBMは金融サービス企業が高性能コンピューティングを金融サービスセクターに取り入れるのを支援している。
High Performance on Wall Street 2006カンファレンスで、同社の数人の幹部は、グリッドおよび高性能コンピューティングにおける同社の強みを強調した。
IBMのワトソン研究センターの研究者アラン・キング氏は9月18日にこのカンファレンスで、同社は「WebSphere Extended Deployment」など、金融セクターで高性能コンピューティングをサポートするために各種のソフト、ハード、サービスを提供していると語った。
同製品は、大量のシステムトランザクションを管理し、複雑なアプリケーション配備を簡略化するとキング氏。このソフトは自律機能を持ち、OLTP(オンライントランザクション処理)用のトランザクショングリッド、演算グリッド、オブジェクトグリッド用の高性能キャッシングをサポートするという。
またIBMは「WebSphere Front Office for Financial Markets」を提供しているとキング氏は言う、
このソフトはやり取りから直接フィードを受け取り、マシンベースのトレーディングシステムやその他の決定サポートアプリケーションへの高速配信を手助けできるという。
さらにWebSphere Front Officeには、ユーザーがダイレクトマーケットフィードや集積されたフィードなどの幅広いマーケットデータフィードにアクセスできる「Feed Adapter Framework」も含む。
またWebSphere Front Officeフレームワークと簡略化されたAPIセットは、フィードアダプタの作成、維持、再利用、アプリケーションとの接続を容易にするとキング氏は言う。
さらに、このAPIはデータストリーミングを必要とするマシン、端末、カスタムアプリケーションにデータをストリーム配信できる。
IBMが金融市場の顧客を支援しているもう1つの分野が、リアルタイムのLinuxとJavaの拡張だとキング氏は語る。
「これはJVM(Java仮想マシン)を処理するリアルタイムインフラを作成する試みだ」(同氏)
またリアルタイムJava拡張は、ユーザーがガベージコレクションをリアルタイムで制御し、事前のコンパイルをサポートできるようにするという。
IBMのLinuxテクノロジーセンターの上級技術者テッド・ツォー氏は、Red Hat Linuxのリアルタイム強化機能を提供することに「興奮している」が、「もっとおもしろいのはJava分野でリアルタイムJavaを使ってできること」だと語った。
またキング氏は、IBMが2005年のMeiosys買収で取得したMetaCluster HPC技術は、ジョブ仮想化を可能にする高性能コンピューティングインフラ技術だと語った。
「これは長期間の高負荷のジョブを保護する」(同氏)
IBM MetaCluster HPCは長期間の高負荷のジョブを保護するだけでなく、コンピューティングリソースの利用とアプリケーションパフォーマンスを最適化する手助けをすると同氏は言う。
このカンファレンスで講演したReutersの主任技術者スティーブ・ザクノビッチ氏は、同社はIBMの技術を使って「Tornado」というWebサービスインフラを動かしていると語った。
実際、同社はIBMのDataPowerアプライアンス技術を使って、データの統合を高速化し、「迅速にアプリケーションを形成」していると同氏。
IBMのDataPowerアプライアンスはXMLとWebサービスセキュリティを加速・強化し、サービス指向アーキテクチャ(SOA)を促進するとキング氏は言う。
ザクノビッチ氏は、ソフトウェア要件をハードウェア環境に移行することが「今進んでいることだ。ソフトウェアは難しい。だからソフトウェアの要素を引き出してハードウェアに取り込みたい」としている。
IBMのソフトウェア戦略&アーキテクチャ部門の技術理事ケビン・ギルデア氏は、IBM GPFS(General Parallel File System)は「ウォール街でのアプリケーションの拡張にかなり適用できる」と述べた。
GPFSは、NFSとSANファイルシステムのボトルネックを回避すると同氏は語る。
「ノードの数が増えるとパフォーマンスが拡大される」(同氏)
「われわれは小規模のクラスタから数千CPUのクラスタに取り組んできた。1秒間に数百ギガバイトのパフォーマンスを体験してきた」と同氏は述べた。
さらに、IBMはグリッド機能をGPFSに追加した。これで複数のサイトをまとめられるという。
これは数百のノードと200T(テラ)バイトのストレージをサポートすると同氏は語る。
IBMが取り組んでいるもう1つの分野が、電源管理と冷却だとキング氏は言う。
IBMの「PowerExcecutive」ソフトは、「視覚的なインタフェースを提供し、熱がたまっている場所を監視して対処できる」と同氏。
同社のSystem Xプロダクトマーケティングマネジャー、クワシ・アサル氏は、「PowerExcecutiveはシステムで何が起きているのかを正確に把握できるようにする」と語る。
例えば「この技術はサーバ当たり、ラック当たりでどれだけの電力が消費されているかを把握できるようにする」という。
またキング氏は、IBMはBladeCenter、さらにスーパーコンピューティングシステム「Blue Gene」を使って、「オンデマンドの深いコンピューティング性能」を提供すると語った。
「われわれがあなたがたのためにデータセンターを運営する」とIBMのサービス部門についてキング氏は語った。「データセンターではBlue Geneも走らせる。われわれにはセキュアなアプリケーションと環境の運営に関する豊富な経験がある」
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