Lenovo、ノートPCの発火問題を調査――リコールは不可避との声も(1/2 ページ)

Lenovoの技術者たちは、ロサンゼルス国際空港で発火したThinkPadを調査中だ。またもやリコール騒ぎになるのだろうか。

» 2006年09月25日 14時14分 公開
[John G. Spooner and Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Lenovoの技術者たちは、ロサンゼルス国際空港で発火したThinkPadを調査中だ。またもやリコール騒ぎになるのだろうか。

 Apple ComputerとDellのノートPCで最近起きたのと同様のバッテリーパックの障害が、Lenovo GroupのノートPCでも1件発生するという事態について、アナリストらは、同社のバッテリーパックのリコールを実施する必要があるとみている。

 ノースカロライナ州ローリーを本拠とするLenovoの担当者は、「IBM ThinkPad T43」に搭載されていたバッテリーパックが今月、ロサンゼルス国際空港で発火したことを認めた。

 Lenovoは2005年5月にIBMのPC部門を買収した。Lenovoの広報担当者、レイ・ゴーマン氏がeWEEKに明らかにしたところによると、同社は発火したThinkPadを入手し、神奈川県大和市の同社事業所の技術者による調査の初期段階で、問題のバッテリーパックには、DellとAppleが報告したオーバーヒート問題と発火事件に関連していたのと同じタイプのバッテリーセルが含まれていたことが判明したという。

 ゴーマン氏によると、Lenovoではこの事件をまだ調査中であり、現時点では今後の方針を明らかにできないとしている。

 バッテリーの問題が原因でノートPCのバッテリーパックがオーバーヒートしたり発火したりする可能性は低いものの、DellおよびAppleと同様の問題に遭遇したLenovoには、リコール以外の選択肢はないというのがアナリストらの見方だ。

 Dellが8月14日に発表した410万個のバッテリーのリコール、そしてAppleが8月24日に発表した180万個のバッテリーのリコールは、ソニー製のリチウムイオンバッテリーセルの製造上のミスが原因だった。

 ゴーマン氏は、「LenovoのノートPCの場合、今回の件のような極端なバッテリー障害が起きるケースはまれだ」としながらも、「当社の最大の関心事は公衆の安全だ。われわれは調査を開始した。当社の顧客の安全と公衆安全という目的のために、あらゆる手段を講じるつもりだ」と付け加えている。

 マサチューセッツ州ウェイランドにあるEndPoint Technologies Associatesのロジャー・ケイ社長は、「現在、Lenovoは統計基準に合致している。つまり、Dellが2年間でソニーのセルをベースとするバッテリーパックを400万個出荷したとして、同時期におけるLenovoの出荷数に基づいて計算すれば、その時期に1〜2件の不具合が発生することになる」と指摘する。

 「これは、Lenovoの製品も同様の危険性を抱えており、同社もリコールを実施しなければならないことを意味する」(ケイ氏)

 DellとAppleの両社は、ソニー製セルを採用したバッテリーパックの回収に際して、「念のため」と説明した。Dellによると、バッテリーパックに関連した「出来事」の報告は、米国内での6件に加え、米国外での数件に過ぎないとしている。

 「書き入れ時(7〜9月期末および10〜12月期)の最中に問題を認めなければならないというのは、あまり楽しいことではない。しかしこういった問題は非常に目立つので、避けて通ることはできない。リコールを実施しないわけにはいかないだろう」とケイ氏は話す。

 Dellのリコール発表の後、LenovoとHewlett-Packardの両社はそれぞれ、ソニー製のバッテリーセルを使用しているが、異なる充電方式とバッテリー保護方式を採用しているために同様の問題が起きる心配はないと主張していた。(関連記事)

 しかしケイ氏によると、ソニー製セルに関連した問題を再現するのが困難なこともあり、両社とも問題が起きないと100%保証することはできないとしている。

 「問題は、この不具合を再現することができないということだ。めったに起きない障害なので、メーカーの技術者が不具合を再現しようとしても、常に成功するとは限らない」とケイ氏は話す。

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