ITmedia どのプロセッサも仮想化を売り込んでいます。仮想化に適したアーキテクチャーというのはあるのでしょうか。
ウィグル 仮想化のための大切な要素は3つあります。「信頼性」「ソフトウェアの互換性」、そして「性能」です。
仮想化というのは、たくさんの卵を1つのバスケットに入れるようなものです。バスケットは強固なものでなければなりません。Intelのプロセッサとチップセットは信頼性という観点から優位を確保しています。
また、既存のOSやアプリケーションを修正/書き換えることなく、そのまま移行できることも必要になります。プロセッサそのものの話ではありませんが、顧客にとっては、非常に重要なことです。例えば、IntelとVMwareは、XeonサーバとVMwareの仮想化環境上でISVアプリケーションの対応を促進するプログラム、「Virtuarize ASAP」に取り組んでいます。
また、日本市場向けにはこの4月、仮想化ソリューションの実運用に向けた技術環境の普及促進プログラムである「インテル仮想化アクセラレーション・プログラム」を世界に先駆けてスタートしています。ベンダーだけでなく、ソリューションを顧客に届けるシステムインテグレーターにも参加してもらい、アプリケーションの検証支援、ワークショップの開催、ソリューションカタログの作成などを進めています。
ITmedia 日本の企業顧客が新しい技術に慎重だからですか。
ウィグル 仮想化技術はすでに使えるものになっているのですが、日本では取り組む企業が少ない、つまりギャップが大きかったのです。それを解消しようという取り組みでした。
ITmedia 3つ目の性能は?
ウィグル Intelでは、仮想化を考慮してシステム全体のアーキテクチャーを最適化して性能を出せるよう取り組んでいます。プロセッサのデュアルコア化やマルチコア化はもちろん、メモリやI/Oサブシステムも含めて、最適化が図られる必要があります。
ITmedia 仮想化は、1970年代にIBMがメインフレーム上でサポートして以来、実に30年の歴史があります。Intelは短期間で追いつくことができるのでしょうか。
ウィグル Intelは、業界のほかのプレーヤーと協業し、標準化を推進してきました。そして、多くのシステムベンダーがIntelのプロセッサを搭載したサーバを出荷しています。こうしたハイボリュームがわれわれの強味といえるでしょう。
Xeonサーバは企業であまりにも大量に導入されました。その結果、逆に管理を簡素化するソリューションが求められることにもなりました。Intelはそうした声にこたえる必要があるのです。
また、短期間で仮想化技術が利用できるまでになった背景には、これまでにもVMwareがソフトウェアのみによる仮想化ソリューションを提供してきており、その有効性を証明してきてくれたことがあります。われわれがプロセッサに仮想化機能を組み込むことによって、一気にマスマーケットに受け入れられるものになりました。
このことから分かるように、仮想化のような新しい技術は、プロセッサやチップセットに組み込まれていくだけでは十分ではありません。多くのシステムベンダーやソフトウェアベンダーとの協業を通じ、顧客がそのメリットを享受できるようにすることが重要なのです。
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