仮想化市場の勢力図を塗り替え、Xenとタッグを組むMSの狙い

XenSourceとMicrosoftは提携し、Windows “Longhorn” ServerホストでもXenEnterpriseホストでも、同等のパフォーマンスでXen対応Linuxを実行できる仮想マシンに取り組んでいく。これは両社共通のライバルVMwareとの戦いを進める上で大きなアドバンテージになるだろう。

» 2006年08月24日 07時00分 公開
[Peter Pawlak,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Linux向けの仮想化ソリューションプロバイダーXenSourceとMicrosoftは、パートナーシップを拡大し、提供が予定されているハイパーバイザーベースのWindows仮想化テクノロジーを利用して、Xen対応LinuxをゲストOSとして実行した場合に、このゲストOSのパフォーマンスを高めることができるソフトウェアの開発を協力して進めていくことで合意した(このWindows仮想化テクノロジーは、2007年中に提供が予定されているWindows Longhorn Serverのリリース日から6カ月以内にリリースされる予定である)。

 両社は、Windows Longhorn ServerとXenのハイパーバイザーベースのXenEnterprise OS間で、同等のパフォーマンスを維持しながら移植が可能な、Xen対応Linux用の仮想マシン(VM)を実現するソフトウェアの開発に取り組んでいく。

 このレベルの移植性とパフォーマンスを実現するには、仮想マシンをディスクに格納するための共通のファイルフォーマットと、Xen対応Linux VMをLonghorn Server上で実行するためのAPI変換レイヤーが必要になる。Xenは既にMicrosoftのVirtual Hard Drive(VHD)ファイルフォーマットのライセンスを取得しており、Xen VMにはVHDフォーマットを採用する予定だ。

 新しいパートナーシップの一環として、XenSourceはWindowsハイパーバイザー用のAPI変換レイヤーを開発する。ハードウェアが同じであれば、このコードにより、WindowsホストでもXenEnterpriseホストでも同等のパフォーマンスでXen VMが実行できるようになる。

 逆にMicrosoftが、Windows VMがXenEnterpriseハイパーバイザーを利用できるようにするためのAPI変換レイヤーを開発することに同意したとの発表はないが、今回の提携は、両社共通のライバルであるハードウェア仮想化大手のVMwareとの戦いを進める上で、大きなアドバンテージになるだろう。

 MicrosoftとXenSourceからは、そのほかにも次のような発表があった。

  • 2006年10月までにXenEnterpriseは、既存のWindowsゲストOSをサポートする(ただし、パフォーマンスの劣るハードウェアエミュレーションモードを使用)。
  • Microsoftは、Xen対応LinuxゲストOSを使用するMicrosoft Virtual Serverユーザーにサポートを提供する(一般的なLinuxの問題に対応するのではなく、Virtual Serverホスト側にある問題を解決するためのサポートを提供する)。
  • Microsoftは2006年末までにLonghorn用のWindows Server Virtualizationのβ版を、XenSourceは2007年後半にMicrosoft-XenSource仮想化テクノロジーのβ版を提供する予定である。
  • 仮想化インフラストラクチャの管理技術の標準規格を策定しているDistributed Management Task Force(DMTF)に協力していく。

 開発リソースは両社とも提供しているが、XenSourceはワシントン州レドモンドのMicrosoftの本社近くに新たにオフィスを開設している。今回の契約は複数年契約である。金銭的な詳細については、公表されていない。

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