コンテンツポータビリティの未来とケータイ業界垂直統合モデルの可能性ケータイルネサンスは起こるか 第6回(1/2 ページ)

その存在意義に疑問を投げかけられた「Yahoo! コンテンツストア」は、新たな方向性を模索している。果たして、その先に見ているものは――。また、ヤフーやグーグルなどのPCインターネットの巨人と手を組み、泰然自若せんとする3キャリア。果たして「キャリア主導の王国」は安泰か――。

» 2006年10月05日 08時00分 公開
[アイティセレクト編集部]

「Yahoo! コンテンツストア」の生きる道

 ヤフーのモバイル事業部企画部の久保田紀之氏によると、250近いコンテンツをそろえる「Yahoo! コンテンツストア」で継続的に売れているサービスは、「PCサイト閲覧jig(ジグ)ブラウザ」という、ケータイでPCサイトを見るための高機能フルブラウザアプリ。月額630円のサービスで、ほとんどが同210円、同315円というコンテンツがそろうラインアップの中では、優にトップ10に入る高額サービスだ。それだけに「意外な傾向だと思った」と、久保田氏は口にする。

 「jigブラウザ」が売れている理由は、ひとえに、PCインターネットのサービスをケータイからも使いたいというユーザーニーズがあるからだという。そのサービスとは、大半が「検索」である。グーグルなどのケータイ進出は、そこをにらんだからだともいえる。

 実は、「Yahoo! コンテンツストア」の狙いは、そのようにPCとの連携を進めることでもあると、久保田氏は主張する。ケータイとPCを連動させた部分における課金サービスの提供が念頭に置かれているのである。例えば、オンラインゲームをパソコンで楽しんでいるときに、パソコンを離れてもケータイで楽しめるという状態を「Yahoo! コンテンツストア」で提供きるのではないかと。ただ、この部分はまだ未開発中らしく、これから推進していくことになるという。

これからは、PCとの連携がユーザーを魅了していくことになる!?

PCとケータイの連携には競合他社も活路を見出す

 そうしたPCとケータイの連携を目指した試みは、「goo」でも展開されている。NTTレゾナントは7月、PCインターネットでケータイサイトを検索できる「gooケータイサイトなび」を開設した。どのキャリア向けにどんなサービスがあるのかが、キャリア別あるいはジャンル別のランキング形式で紹介されているサイトだ。掲載されているのは「goo」に事前登録されたコンテンツプロバイダー(CP)のケータイサイトだけ。コンテンツ/サービスを購入する際は、そのサイトのURLをケータイに送ったり、QRコードを読み取るなどして、ケータイからアクセスする。

 「gooケータイサイトなび」は、「Yahoo! コンテンツストア」のように直接PCサイトで購入できるようなモデルではないが、仮に「コンテンツポータビリティ」の概念が崩れるとすれば、それに取って代わる、PCインターネット上の新しいケータイ向けサービスモデルのベースとなってもおかしくないと考えられる。

備考

*1 本稿では、キャリアは携帯電話事業者を指す。現時点ではNTTドコモ、KDDI(au)、ボーダフォン(10月1日からソフトバンクモバイル)の3社になる。PHSのウィルコムは含んでいない。

*2 本稿における「携帯電話」「ケータイ」の使い分けについては、文脈や発言内容などに応じて変えている。例えば、「携帯電話事業(者)」としたり改まった発言である場合は漢字表記にした。基本的には、「携帯電話」という端末そのもの、手段、事業、分野などすべてにわたってカタカナ表記とした。

*3 本稿では、NTTドコモの「iモード」、KDDI(au)の「EZWeb」、ボーダフォンの「Vodafone live!」については「(ケータイの)インターネット」、パソコンなどで楽しむ、一般のインターネットを「PCインターネット」と称した。

*4 本稿中の数値・事象などは、例外を除き、すべて8月16日時点のもの。


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