指静脈認証の用途はATMだけじゃない、日立が企業システム向け新製品

日立製作所は、PC向けの小型指静脈認証装置「日立指静脈認証装置」と既存のアプリケーションとの連携が可能な認証サーバソフトウェア「指静脈認証管理システム」をリリースした。

» 2006年10月10日 17時21分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 日立製作所は10月10日、PC向けの小型指静脈認証装置「日立指静脈認証装置」を発表した。同時に、既存のアプリケーションとの連携が可能な認証サーバソフトウェア「指静脈認証管理システム」もリリースし、10月12日より販売を開始する。

 指静脈認証は、指紋や光彩などと並んで広く利用されているバイオメトリクス認証の1つだ。バイオメトリクス認証はIDとパスワードの組み合わせに比べ、なりすましや偽造が困難で、より強固な本人認証を可能にする。また管理者の観点からは、パスワードの管理や再発行に関連する負荷が軽減する点がメリットだ。

 中でも指静脈認証は、指紋認証に比べ、非接触で利用できるため利用者の抵抗が少ないことが特徴。また、体内にある特徴パターンを読み取るため偽造がさらに困難な上、登録/読み取りが表皮の状態に左右されない。このため、指紋認証ではどうしても一定割合出てくる「登録できないユーザー」も少なくなる。こうした利点を受けて、これまでも金融機関のATMや入退室管理などに利用されてきた。

 これに対し新製品は、主に企業システムでの利用を念頭に置いたもの。新LSIの搭載によって、従来製品に比べ設置面積や質量を約40%削減した。同時に、外光の影響を少なくするため製品上部にフードを付けたほか、認証時の指への透過光の照射方向を変更するなどして、認証精度も高めたという。

日立指静脈認証装置

 本体はUSBで接続し、ローカルPCのWindowsログイン時の認証に利用できる。指静脈認証管理システムを併用すれば、BioAPI 2.0やSOAPインタフェースを通じて企業ポータルサイトや業務システムと連携し、指静脈認証に基づくアクセス管理が可能だ。大規模環境での運用を支えるため、Active Directoryと連携してグループ情報を取り込んだり、複数サーバに認証データを分散させて負荷分散を図ることも可能だ。

指静脈認証管理システムはWebベースのインタフェースを採用。ユーザー登録、管理のほかログの検索などが行える

 利用例として、厳密な情報管理が求められるシステムでの認証強化が挙げられるほか、勤怠管理や決済システムのワークフローに「承認時には指静脈認証を行う」といったプロセスを組み入れることで、不正な処理を抑止し、内部統制の強化にもつながるという。

 価格は、日立指静脈認証装置が2万9400円、指静脈認証管理システムは1クライアント当たり2万1000円。いずれも11月22日より出荷を開始する。日立グループ全体では、指静脈認証関連で今後3年間で1000億円の売り上げを見込むといい、うち企業システム関連では300〜400億円を目指す。

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