高価ITツールを「持ち腐れ」させないっ!BIソリューション活用術 第1回(1/2 ページ)

普及が進まないといわれるビジネス・インテリジェンス(BI)。だが、どうやら「導入」ではなく「活用」の段階に入るのが遅れているというのが本当のところのようだ。BIを活用するにはどうしたらいいのだろうか――。

» 2006年10月17日 08時00分 公開
[アイティセレクト]

導入済みツールが使えていない!?

 調査会社などの発表には、日本企業においてBIはまだ普及していないというデータやコメントが散見される。「月刊アイティセレクト」でこの1〜2年の間に扱った、BIをテーマにした特集などでも、その普及度の低さをレポートした。

 ただ、それはBIというものの定義にもよるようだ。BI専門のディストリビューターで、その導入コンサルティングも手掛けるジールグループの代表、山本秀典氏は「分母(母集団)が何かによる」という。

 そこで、ここでは「データウェアハウス(DWH)にOLAP(※1)ツールをつないだ仕組み」を基本的なBIの仕組みとして考えたい。その上で、どういった企業がそれを必要とするかを考えると、「大ざっぱに言って上場企業」(山本氏)となる。すると、BIを必要としている企業に限れば、「(導入は)すでに一巡していると考えられる」と山本氏はいう。つまり、従来のBIが効果を発揮する、いわゆる大手企業にはすでに導入されているのである。

BIの構成概念図

ETL:ERPなどに蓄積されたデータを取り出して、DWHなどで利用できるようにする機能/ソフトウェア

 とはいえ、それがうまく使われていないために、BIの効果が表面化していないという事実があるとされている。企業におけるITの重要課題は今、「構築」ではなく「活用」になっている。基本的な基盤整備は一通りできているものの、実際にそれを活用できていないということだ。こうしたことが、BIにもいえるという現実が垣間見えるのである。

 では、なぜ活用できていないのか。その理由として、山本氏は「今がちょうどシステム的に出来上がったタイミングで、これからが活用の段階。そのため、ユーザーが使い方にまだ慣れていない」という状況を挙げる。

「仮説検証」する習慣を身に付けよ

 「BI」という言葉は、ずいぶん前からあったようだが、耳にするようになったのは数年前。当初、BIがうまく機能しなかったのは、DWHなどとの連携で問題がありOLAPツールがデータを読み取れないといった、システム的な問題が原因だった。だが、仕組みが整ったといわれる現在においては、「明らかにビジネス上の問題」が要因になっていると山本氏は説明する。システムはできたのに、どう使いこなしていいか分からないのである。

 BIでは、販売分析で損益を即座に把握したり、管理会計の仕組みを整えることができる。損益であれば、顧客別、商品別、ブランド別…といった具合に詳細なデータを瞬時に表示できる。しかし、そのデータの活用法が、まだ成熟していないのである。

 なぜか。

※1 「オーラップ」と読む。データベースに蓄積されたデータをさまざまな側面で集計・解析して視覚化するシステムのこと。販売、マーケティングなど、非技術系の側面においてユーザーが操作・活用できるところが、従来の解析システムと異なる。顧客データや販売データなどを検索・集計し、問題点などを分析することができ、主に売り上げ報告、市場分析、予算編成、計画立案、財務諸表作成などに使われる。

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