BEA、ビジネスとITのギャップを解消する「AquaLogic BPM」日本語版出荷

ITをビジネスにおける戦略的なものへ。品質向上とともにSOAへの取り組みをビジネス面からもアクセス可能としていく。BEAはAquaLogicファミリーにBPM製品を加えた。

» 2006年10月18日 07時58分 公開
[ITmedia]

 日本BEAシステムズは、既報のように買収したFuegoのBPM製品をAquaLogicファミリーへと統合を進め、日本語版出荷を行った。同製品はこれまでにも米国でバージョン5.5が販売されていたが、今回の5.7からはマルチバイト対応となったもの。

 日本BEAは製品出荷に合わせて会見でコメントし、市場におけるSOAへの取り組みについて語った。現在では評価から実装段階へと移ってきているが、依然としてビジネスユーザーと開発の現場をシームレスにつなぐための課題が残されたままだと指摘する。J-SOX法への取り組みによって経営層とのかかわりも問われる機会が増えていくが、開発(IT)とのかかわりが今後のフォーカスすべき点だと強調した。

 そして、SOAについて、サービスを作り上げてもこれまでは経営層へとアピールするには苦労するものとなっていたことを課題だとし、AquaLogic BPMによってシームレスなリポジトリ介入が実現され、ITが透過的になるという。

 国内での展開については、促進活動として日本BPM協会との協調が予定されており、フォーラムへ参加していく意向も示された。ベストプラクティスとなるテンプレートをBPM協会へと提供する予定もあるという。また、パートナーとの連携も重視しており、協業モデルの確立を行っていくことが語られた。

 今回出荷開始された「BEA AquaLogic BPM Suite 5.7」は、BPM Suite、BPM Designer、BPM Studioの製品ラインで構成されており、BPMを監視して改善することを目的としている。BPELやBPMMをプロセス単位でサポートすることができるものとなるのだ。

「Business Liquid-IT-y」ビジョンの実現へ

 Business Liquid-IT-yは、BEA Systemが掲げたビジョンを象徴するものだが、ビジネスとITのギャップを解消すべく、AquaLogicファミリーによって外部環境の変化に柔軟に対応できることが目的とされている。

 これまでのBEA製品は主にテクノロジーの視点で提供されてきたが、エンタープライズのインテグレーションがフォーカスされることになり、さらにAquaLogic BPMによってBPM実装が現実的なものになっていくという。これによりビジネスとIT間で問題視されているギャップを無くすことができるものとしている。

 製品における適用領域としては、ビジネスプロセス管理として「BPM Suite」が用意されることになり、エンタープライズインテグレーションとしてはこれまでの「WebLogic Integration」を始め、「AquaLogic Data Service Platform」、「AquaLogic Service Bus」、「BEA Adapters」がサポートする。

 ほかにもAquaLogic BPMのポイントについて、「業務自体をプロセスとして考える」「業務からプロセスとして定義する」「外部のサービス連携もプロセス間連携として考えていく」などが挙げられ、人、プロセス、そして統合的なかかわりが同製品で網羅されることが強調された。

 会見では製品内ツールそれぞれの詳細にも触れられた。

 ビジネスプロセスのモデリングとシミュレーションは、AquaLogic BPM Designerが担うことになる。業務のモデル化を行うツールは他社ツールでもあるが、BEAは、AquaLogic BPM DesignerとAquaLogic BPM Studioで同じリポジトリを用いることが優位性になるという。双方へとリアルタイムに反映させることができるからだ。

 さらにツールによる領域を分けていくとすると、開発からデプロイがAquaLogic BPM Studio、実行が「AquaLogic Hiper Workspace for BPM」、モニターに「AquaLogic BPM Dashboard」、最適化には「AquaLogic BPM Analyzer」が用意されている。

 ビジネスユーザーは、AquaLogic BPM Designerを使うことで業務のシミュレーションを行うことができ、ビジュアルを変えることもできる(アイコンを替えるなど)。ビジネスロジック自体に依存することがないのも特徴といえる。

 ビジネスロジックのシミュレーションが可能な点も優位さであるといい、例えば受発注業務としてアクティビティに時間がどの程度必要か、コストはどの程度などと設定しておくことで、業務全体を見渡すことができる。

 どのプロセスがボトルネックになっているのかが把握できるため、プロセス単位でビジネスパーソンの判断が可能となる。

 業務コンソール(BPMの利用コンソール)には、「HiPer Workspace for BPM」が用意される。例えば、経費申請などが行われ、ユーザー権限が確認できるものだ。UMLでも知られているスイムレーン(区画)がアプリと業務内容をデザイン段階で決定づけていることが、AquaLogic BPMの強みでもあるという。

 価格は、BEA AquaLogic BPM Suiteで2ユーザ分のBEA AquaLogic BPM Studio、5ユーザ分のBEA AquaLogic BPM Designer、1CPU分のBEA AquaLogic BPM Enterprise Serverが含まれたものが1780万円。BEA AquaLogic BPM Designerで1ユーザ当たり15万円となっている。BEA AquaLogic BPM Studioは1ユーザ当たり77万5000円、BEA AquaLogic BPM Enterprise Serverは、1CPU当たり1630万円。

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