企業のIT革命をリードする「デジタルネイティブ」世代

ポッドキャスティングやブログ、VoIP(Voice over IP)、ビデオ・オン・デマンドといったコンシューマー技術が2012年までに職場に進出する見込みだ。この進撃を率いるのは、これらの技術に囲まれて育った20代の若者たちで、Gartnerのアナリストたちには「デジタルネイティブ」と呼ばれている。

» 2006年10月23日 11時41分 公開
[Stan Gibson,eWEEK]
eWEEK

 ジェネレーションY(1980年以降に生まれた人々)が、企業のIT部門に革命をもたらすパーソナル技術を引っさげて、米国のビジネス界に侵略しようとしている――10月8〜13日に開催されたGartnerの年次「Symposium/ITxpo」の参加者に向かって、同社のアナリストはこのように語った。

 ポッドキャスティング、ブログ、VoIP(Voice over IP)、ビデオ・オン・デマンドといったコンシューマー技術が2012年までに職場に進出する見込みだ。この進撃を率いるのは、これらの技術に囲まれて育った20代の若者たちだ。Gartnerのアナリストたちは、彼らを「デジタルネイティブ」と呼んでいる。

 Gartnerのアナリスト、ピーター・ソンダーガード氏は、「コンシューマリゼーションは、向こう10年間でITにインパクトを与える最も重要なトレンドだ」と指摘する。

 その結果、ITの所有権が企業からコンシューマーに移転するという変化が起きるという。強力なコンシューマープラットフォーム上でビジネスプロセスが動作するようになるからだ。

 「もうすぐ、その発火点に達しようとしている」とソンダーガード氏は述べ、この流れの先頭に立つのが金融サービス企業であると予測する。というのは、既に36%のコンシューマーがオンラインバンキングを利用しているからだ。「コンシューマーへの権力シフトという変化の最前線にいるのが銀行だ」と同氏は言う。

 Gartnerのアナリスト、スティーブ・プレンティス氏は、この変化の根底にあるもう1つの要因を指摘する。それは、2004年にコンシューマー向け半導体市場が初めて、企業向け半導体市場の規模を追い抜いたことだ。

 「コンシューマー技術は、家庭、ホームオフィス、旅行/リクレーション分野などあらゆる環境に組み込まれるだろう。ユーザーはこれらのすべての環境でデータをやり取りするようになる」とプレンティス氏は話す。

 「そういった機能をコンシューマーに提供する企業だけがプレミアム料金を要求することができる。企業は自社のアプリケーションの機能縮小版を個人に提供する必要がある」と同氏は付け加える。

 「2011年までに、企業はアプリケーションの個人向け構成のためのWebサービスを顧客に提供するようになるだろう」とプレンティス氏は予測する。

 Microsoftのスティーブ・バルマーCEOも、Gartnerのカンファレンスの聴衆に向けたコメントの中で同じ考えを表明した。「最も重要なのはLiveプラットフォームだ。コンシューマリゼーションの次の段階は、インターネットサービスおよびインターネットデリバリから出現するだろう」とバルマー氏は語った。

 コンシューマーによるクーデターは別の形態を取る可能性もある。ハードウェア/ソフトウェア/接続のコストをカバーする補助金と引き替えに、企業のIT部門のPCデバイス管理責任を肩代わりするというものだ。

 Gartnerのアナリスト、トム・オースティン氏によると、すでにその方向に進み始めている企業もあるという。同氏は、ある大企業(名前は不明)の場合を例に挙げた。その会社では、PCを社員に支給するために従業員1人当たり年間2500ドルを支出する代わりに、1000ドルの補助金を従業員に与えて、機器の購入を各個人に任せるという方式を採用したという。

 オースティン氏によると、「2012年までに個人中心のコンピューティングが一般化する見込みだという。「ユーザーの縦糸と企業の横糸が交わって織りなす生地が出来上がるだろう。ITは日常生活という生地の一部になり、2020年までにほとんど意識されなくなるだろう」(同氏)

 一方、企業のIT部門にとっては、新しい従業員が入社するのに伴い、ジェネレーションYを受け入れる以外の選択肢がない。「彼らは将来の労働力であり、将来の顧客ベースでもある」とプレンティス氏は話す。

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