「ウチは特殊だから」という偏見を捨て見直してみる――パッケージ製品の底力製品市場地図を読む「座礁しないERP」(1/3 ページ)

ERPを含む業務アプリケーションの市場では、長年にわたって複数のベンダーが入り乱れ、激しい競争を繰り広げてきた。各ベンダーの製品戦略を追いながら、中堅・中小企業が取り組む「全体最適」の実現のヒントを探る。

» 2006年10月27日 07時00分 公開
[アイティセレクト編集部]

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四半世紀の競争の歴史

 中堅・中小規模法人向けの業務アプリケーション市場は四半世紀あまりの歴史を持つ。特に“販・財・給”と並び称される販売管理、財務管理、給与管理の三つのジャンルは、多くの企業にとって欠かせないソフトとして広く普及している。中堅・中小企業の場合、こうした業務ソフトをそれぞれ最適化し、さらに統合した機能を持たせることによって、ERPの経営手法を具体化していることが多い。

 市場はほぼ飽和状態と言って差し支えなく、どのベンダーも今後の市場規模はゆるやかな増加傾向が続くとみている。

 そんな中、ユーザーにもベンダーにも、より大規模化を目指す動きがあり、企業規模やソフトの機能によって「スタンドアロン版」「LAN対応版」そして業務ソフトを統合させた「ERP製品」の3階層に大きく分かれたそれぞれの層が競争現場となっているような状態だ。

「新たな」ERPで全体最適化を目指す

 オービックビジネスコンサルタント(以下、OBC)の「奉行シリーズ」は、スタンドアロンからERP製品まで、厚みのある製品ラインアップとなっている。もちろん、OBCも他社と同じく小規模企業向けの製品からスタートした。スタンドアロン版から出発して、LAN対応版、そしてERPへと、より大きな企業で使える製品を追加してきた。

 「今はネットワーク環境を持つ会社が普通になってきました。その環境の中で業務を効率化していくには、複数人で同時に入力できるLAN対応版の方が有利です。スタンドアロン版のユーザーは今でも多いのですが、そこから成長していくお客様も多いですね」と、営業本部 営業企画室 室長の仁藤丈久氏は言う。

オービックビジネスコンサルタント 営業本部 営業企画室室長 仁藤丈久氏

 ERP製品といっても、OBCの製品は大企業が使うERPと大きく違う。同社が「新ERP」と呼ぶ製品は、パッケージ同士の連携によって業務の統合を実現するという考え方だ。

 営業本部 営業企画室 主任の熨コ浩之氏は、「導入期間もコストもかかる既存のERPに挑戦する意味で、新ERPと呼んでいます。パッケージという強みを持ちつつ、全体最適を実現します」と言う。

 「パッケージの強み」は、例えば構築期間の短さに表れる。ある会社では、2年間のスケジュールでERP導入を進めていたが、なんと1年8カ月目にして「ベンダーに逃げられてしまった」(熨コ氏)。そのプロジェクトを急遽OBCが引き受け、残り4カ月で無事に構築を終えたという。

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