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» 2006年11月07日 12時30分 公開

MS、2007年度に向けCommon Engineering Criteriaを更新

Microsoftのサーバ製品を対象とするプログラムCommon Engineering Criteria(CEC)が更新され、新たな基準が設けられたほか、対象製品も追加された。Windowsロゴプログラムと同様に、有用な設計ガイドラインに発展できるか、2007年度はCECにとって真価が問われる年となるだろう。

[Michael Cherry,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 2006年6月に、Microsoftのサーバ製品間でデザイン、ドキュメント、ライセンス形態の統一を促進するプログラム「Common Engineering Criteria(CEC)」が、2007製品年度(2006年7月〜2007年6月)にリリースされる製品用に更新された。Microsoftは、同社サーバ製品間の相互運用性を高め、展開と保守にかかる費用の削減を目的とする技術面からのアプローチとしてCECを推進している。しかし、同基準の情報公開の在り方や過去に適用対象外となった製品の数を考えると、導入タイミングの悪さ故に、技術的側面というよりはマーケティング上の問題が降りかかるかもしれない。

Common Engineering Criteriaの概要

 CECは、Microsoftのサーバ製品の総保有コスト(TCO)の削減と、サーバ製品間の相互運用性の確保を目的とする開発および評価プロセスの集大成である。CECには、各製品グループのCEC対応状況を公開するメカニズムが含まれているが、この公開情報からはどの製品がCECの適用対象となるか、またはどれだけ厳格な基準であるか、製品は特定の基準の適用を容易に免除されるのかといったことが把握できない場合がある。

CECの適用対象となるサーバ製品

 SQL Server、Operations Manager、BizTalkなど、サーバ&ツール部門が開発を担当するサーバ製品はすべて、CECに準拠する必要がある。また、SharePoint Server 2007、Office Project Server 2007、Office InfoPath Forms Server 2007、Office Search Server 2007、Live Communications Server、Exchange Server 2007などビジネス部門のサーバ製品の一部も、CECへの準拠が求められている。そのほかDynamicsに代表されるMicrosoft Business Solutions製品が、新たにCECの適用対象とされている。

 原則としては、すべてのサーバ製品が、その製品が製造(RTM)フェーズに入った年度までに公開されているすべてのCEC基準を満たす必要がある。基準を満たせなかった場合、製品チームはその理由を説明しなければならない。例えば2006年末までにリリースされるであろうOffice Project Server 200の場合、2005年度、2006年度、2007年度用の3つすべてのCECに準拠するか、免除を申請した上で準拠できない理由を説明する必要がある。この原則を当てはめると、BizTalk Server 2006は2005年度と2006年度用のCECに準拠する必要があるが、Virtual Server 2005は2005年度用のCECにさえ準拠していればよい。またどの製品も、次のバージョンが製造フェーズに入った時点で、現行バージョンのリリース以降に追加されているCECがある場合はこれに準拠する必要もある(サービスパックや機能パックは適用対象外)。R2や中間リリースは、製造フェーズに入った時点で有効なすべてのCECに準拠する必要がある。

レビュープロセス

 各製品がCECに準拠しているかのレビューは、製品開発サイクル中に何回かにわたって実施される。

  • 最初のレビューは、製品チームが次期リリースの機能を固め始める、機能計画フェーズの最初のマイルストーンで実施される。
  • 2回目のレビューは、製品の最初の公開β版がリリースされた時点で実施される。
  • また、各サーバ製品チームが毎年実施している“Running the Business(RTB)”レビュー時にも実施される。この年次レビューは、何らかのCEC基準違反が見つかった場合に対応できるよう、メジャーエディションまたはマイナー(R2)エディションのデザインおよび開発サイクル中の早い時点で実施される必要がある。
  • 最終レビューは、リリース管理プロセスの一環として実施される製品の“Ship Readiness”レビュー時に実施される。

CECの詳細

 CECの“E”は“Engineering”(エンジニアリング)の頭文字だが、CECにはサーバ製品のドキュメント、トレーニング、サポート、ライセンス、ブランド設定に関する基準も含まれる。2005年度にリリースされた最初のCECでは、SQL Server 2005など製品名に“2005”が付く製品を対象に16の基準が設けられている。

 2006年度向けのアップデートでは、7つの基準が追加された。そして本年度は、Webサービスの採用やIPv6のサポートなど、さらに9つの基準が追加されている。

2007年度製品用のCommon Engineering Criteria基準
基準 説明
フィードバックプラットフォームの改善 ユーザーフィードバックの収集、確認、対応のための標準モデルを使用する。
IPv6のサポート IPv6をサポートする。また、設定により、デュアルスタック(IPv4およびIPv6)モードでの実行とIPv6のみのモードでの実行を切り替えられるようにする。
Webサービスの採用 サーバー製品とクライアントシステム間の新しい通信プロトコルは必ず、WS-Managementを含め、WS-*仕様を利用する。
診断機能の強化 どのイベントを、いつ、どのように生成するかについてのガイドラインに従う。イベントの生成にあたっては、ユーザーのプライバシーに配慮する。
Active Directoryのための最適化 「Microsoft Certified for Windows Server 2003 アプリケーション仕様書」の「S1.0 Active Directory」で規定されている要件に準じる。
セキュリティ構成ウィザード 特定のサーバーの役割ごとにセキュリティ構成ウィザードを用意する。
ネイティブx64実行のサポート 2005年度の「64ビットのサポート」基準に加えて、少なくとも1つのエディションで、x64システム(AMD x64およびIntel EM64T)上でのネイティブ64ビット実行をサポートする。
コンテンツモデルの標準化 印刷ドキュメントおよびオンラインドキュメントに同じコンテンツモデルを使用する。
Microsoft Updateサービスへの対応 セキュリティ更新プログラムやサービスパックなど、すべてのGDR(General Distribution Release)は、Microsoft Updateを通じてリリースする。
この表は2006年7月〜2007年6月にリリースされる製品を対象とする新しいCommon Engineering Criteriaの基準をまとめている。ただし、適用が免除される製品とその理由については記載していない。完全な基準情報にはこれらの情報が含まれている

 CECを一般に公開する主要な手段として、CECレポートがある。これは、年度別のCECの各基準と、各サーバ製品の対応状況を掲載しているWebサイトである。製品ごとに、各基準に対して準拠しているか、または適用対象外とされている場合はその理由へのリンクが、表形式でまとめられている。

 Microsoftは、ユーザーが細かい点を気にかけることはないと判断し、各基準の技術的な説明や準拠しているかどうかの判断基準についての情報は公開していない。一般に公開されている基準の説明は、例えば次のようになる。

  • すべてのサーバ製品は、製品リリースまでに、各製品用のMicrosoft Operations Manager(MOM)を用意する。
  • 各製品の管理パックは、コア製品のスケジュールに合わせて提供する。
  • 各製品の管理パックでは、イベントとパフォーマンスの処理に関する通知、パフォーマンスおよびイベントの傾向を示す情報をグラフィカルにマップする基本表示、管理対象の状態に関する状態監視表示(緑/黄/赤)、タスクを提供する。

 管理パックについて社内向けには、これよりも詳細な要件が公開されている。

製品への影響は?

 Microsoftは具体例を示していないが、単にリリーススケジュールに間に合わせるという理由ではCECの適用対象外とせず、CECに準拠するスケジュールを製品チームが示さない限り製品のリリースを延期させて出荷を許可していないという。CECが実際どれほど有効かについては、おそらく2007年度製品のリリースが始まったときにはっきりするだろう。

 2005年にCECがリリースされた当時、同基準の適用対象となる製品のほとんどで、既に次期リリースに向けたデザイン、開発、テストがかなり進んでいた。Microsoftの典型的な開発サイクルを考えると、例えば2005年にリリースを予定している製品であれば、デザインと開発は2003年に開始されていると思われる。つまり、CECの導入当時からCECの評価プロセスには問題があり、最初の数年間は製品チームに強制的に開発をやり直させ、CECに準拠させるのではなく、適用を免除する必要があった。

 しかし状況は変わった。2007年度にリリースされる製品は、CECの策定後にデザインされており、各製品チームにはCECに準拠するための作業を計画やスケジュールに組み込む十二分な時間があった。したがって、同プログラムが機能しているのであれば、2007年度製品出は適用を免除された製品の数が急激に減少しているはずである。また、適用免除の理由もより明確になるだろう。例えば、Virtual Serverでは、CEC基準の1つである“Virtual Serverのサポート”の適用が引き続き免除される可能性がある(ハードウェアの制限が原因でVirtual Serverをクライアントとして実行できないという明確な理由がある)。

 また、Microsoftは概要ではなく完全なCEC情報を公開することで、同プログラムを推進できるかもしれない。特に、完全なCEC情報を公開すれば、ほかの開発メーカーでも同様のプログラムを発足させ、すべてのサーバアプリケーション製品の品質向上につながるだろう。ほかの開発メーカーがCECの全基準に準じることはないとしても、Windows Serverロゴプログラムのガイドラインと同様に、CECは有用なデザインガイドラインとして発展できる可能性を秘めている。

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